船津衛編著『感情社会学の展開』 北樹出版 2006年
感情社会学という新しい分野についての論文集。
感情という科学的検証が困難な対象を、社会学的に捉えようという
試みは興味深いが、まだまだ研究の余地は多い。
定性的評価だけではなく、もっとしっかりとした根拠をもとに、
客観的に論じられていれば、より良かったと思う。
(心に留まった記述)
「感情を社会関係、とりわけ、権力や地位の産物として捉えるべき」
「権力が過剰であると、『恐れ』や『心配』の感情が生じ、適切であると『安心』の感情が生まれる。
また、地位が過剰であると、『恥』の感情が生まれ、過小であると、『失望』の感情が生じ、
適切であると、「幸せ」の感情が生み出される」(12頁)
「(感情は)完全に生理学的なものではなく、認知的、社会的性格を持つものであり、
(感情は)自然発生的というよりも、社会的に形成される」(14頁)
「『弱さ』を支える感情操作を行う・行おうとする際には、その背景にある心理を
一方的に『知る』ことが必要条件である。
そのため、ケアの送り手=受けての心理を一方的に知る主体、
ケアの受け手=自身の心理を一方的に知られる客体、
という構図がたち現れる可能性が抜きがたく存在する」(46頁)
「(コンビニの店員と客の関係などでは)役割を担う者の匿名性こそ
役割のレベルにおけるやりとりが自明なものとなり
常識的に期待された結果を生み出す条件となる」(84頁)
「『喪失感情』を理解するには、それを引き起こした『喪失体験』が
本人にとってどのようなものであるか理解すること、
前提として、喪失対象への本人の思い入れを
理解することが必要だ。」(109~110頁)
感情社会学という新しい分野についての論文集。
感情という科学的検証が困難な対象を、社会学的に捉えようという
試みは興味深いが、まだまだ研究の余地は多い。
定性的評価だけではなく、もっとしっかりとした根拠をもとに、
客観的に論じられていれば、より良かったと思う。
(心に留まった記述)
「感情を社会関係、とりわけ、権力や地位の産物として捉えるべき」
「権力が過剰であると、『恐れ』や『心配』の感情が生じ、適切であると『安心』の感情が生まれる。
また、地位が過剰であると、『恥』の感情が生まれ、過小であると、『失望』の感情が生じ、
適切であると、「幸せ」の感情が生み出される」(12頁)
「(感情は)完全に生理学的なものではなく、認知的、社会的性格を持つものであり、
(感情は)自然発生的というよりも、社会的に形成される」(14頁)
「『弱さ』を支える感情操作を行う・行おうとする際には、その背景にある心理を
一方的に『知る』ことが必要条件である。
そのため、ケアの送り手=受けての心理を一方的に知る主体、
ケアの受け手=自身の心理を一方的に知られる客体、
という構図がたち現れる可能性が抜きがたく存在する」(46頁)
「(コンビニの店員と客の関係などでは)役割を担う者の匿名性こそ
役割のレベルにおけるやりとりが自明なものとなり
常識的に期待された結果を生み出す条件となる」(84頁)
「『喪失感情』を理解するには、それを引き起こした『喪失体験』が
本人にとってどのようなものであるか理解すること、
前提として、喪失対象への本人の思い入れを
理解することが必要だ。」(109~110頁)