ホープ・コンサート 2024 ~後編~ | 35歳年上の夫は師匠でエイリアン! 

35歳年上の夫は師匠でエイリアン! 

【夫】台湾人 × 【妻】日本人

国際結婚? いえ、惑際結婚ですから!

気がつけば2男1女。

あの男を見ていると、とても同じ人類だとは思えない。
漢方薬を水なしで飲めるなんて
一体どんな味覚をしてるんだ、あのおっさんは。

 

 

 

開場時間の前後、会場前は

俄かに騒がしくなった。

 

 

タクシーで乗り付ける

人も見かけた。

 

 

このコンサートのために、

遠方から駆けつけた人も

たくさんいたのだろう。

 

 

 

 

開場は、

17時15分。

 

 

ただし。

 

予め整理券を持っている人が、

優先的に入場できることになっていた。


 

午後3時を過ぎた頃、会場前で

私が係員さんからいただいたのは、

正確に言うと、当日券の整理券だ。

 

 

そして。

 

当日券は、午後5時半頃に

配られたように記憶している。

 

 

だから。

 

必然的に、列の最後尾に

並ぶことになるのだが。

 

 

私は、そんなことは

どうでもよかった。

 

 

チケットを持たずに来た私が、

結果的にコンサートを

拝聴できることになったのだから。

 

それだけでもう、

十二分に有難かった。

 

 

 

だが、同時に。

 

私は、とても諦めの

悪い人間でもある。

 

 

 

 

全席自由

 

 

 

 

私にとっては、

この言葉こそ。

 

まさにコンサートの要、

ホープではなかっただろうか。

 

 

 

 

会場奥の扉から入った私は、

躊躇わなかった。

 

 

ずんずん

ずんずん

 

 

舞台の方へ向かって、

ホールを下って行く。

 

 

 

 

ひと席くらい

空いてるんじゃないか。

 

 

 

 

後から来たからといって、

決して怯んではいけない。

 

 

 

 

 

「ここ、ひとつ空いてまーす!」

 

 

 

 

 

スタッフさんが、手を

上げながら教えてくれる。

 

 

 

 

 

「はい!はい!はい!」

 

 

 

 

すかさず。

 

入場時にもらった

パンフレットを高く掲げて、

手を振った。

 

 

 

どうやら、私の他にも

誰かいたらしいのだが。

 

 

 

 

 

「はい、こちらの人が先」

 

 

 

 

 

こう言って、私を

席まで案内してくれた。

 

 

最前列から数えて

10列目の左端。

 

 

全部で26列だから、

当日券で入ったにしては、

万々歳じゃないだろうか。

 

 

 

このホール。

 

9列目の前が、

通路になっているのだが。

 

 

開演直前。

 

その通路に椅子を置いて

座ったスタッフさんが、

 

もうひとりのスタッフさんに

向かってだろうか。

 

 

 

 

「贅沢...」

 

 

 

 

一言。

 

呟くように、

こう言った。

 

 

私も、まったく

同感だった。

 

 

 

だって。

 

五嶋みどりさんの演奏を

聴くことができるのだ。

 

しかも、無料で。

 

これが贅沢じゃなかったら、

一体なんだろう。

 

 

 

ちなみに。

 

このスタッフさんの口振りに、

決して嫌味な感じはなかった。

 

ただ。

 

素直な感想が、口から

こぼれたという様子だった。

 

 

 

 

 

この後すぐ、

照明が落とされた。

 

 

舞台の左袖から

みどりさんが出てきた瞬間。

 

拍手を送りながら、

涙が溢れた。

 

 

 

私が、この瞬間。

 

目にしていること。

体験していること。

 

これは紛れもなくすべて、

現実に起こっていることなのだ。

 

どれほどの目に見えない何かが、

私を導いてくれたことだろう。

 

 

感謝せずには

いられなかった。

 

 

 

 

発災後。

 

 

今までの人生で

覚えがないほどの、

 

大変で厄介で面倒で、

時には、情けなさも

手伝ってのことだろう、

 

泣きたくなるようなことも

色々と経験した。

 

 

非日常が、日常に

なってしまった日々。

 

 

 

でも、

今日この日。

 

ちゃんと

生きてるじゃないか。

 

美しいものに触れる

機会があるじゃないか。

 

そこに希望が

あるじゃないか。

 

 

 

 

あの日。

 

どれだけ励まして

いただいたことだろう。

 

今も涙が出る。

 

 

 

 

 

コンサートが始まってから

しばらくして。

 

 

みどりさんを

拝見しながら、

ふと、こう思った。

 

 

 

 

誰かに似ている。

 

 

 

 

演奏中、絶え間なく変わる

豊かでダイナミックな表情、

身のこなし。

 

辺りに漂う、

張り詰めた空気と

侵しがたい気迫。

 

隠そうにも、

隠し切れない風格。

 

圧倒的な存在感。

 

 

 

 

 

誰だろう。

 

 

 

 

 

答えは、

すぐに浮かんだ。

 

 

 

 

美空ひばりだ。

 

 

 

 

まさに女王。

 

みどりさんも、

その称号に相応しい。

 

 

 

 

あの夜の出来事、

それは。

 

藤田真央さんの

ピアノ演奏も相まって、

 

まるで夢のような

ひとときだった。

 

 

 

 

アンコールで

舞台に戻ったみどりさんが

演奏してくださった曲。

 

 

 

ふるさと

 

 

 

なんて素敵な方

なんだろう。

 

 

 

 

実は。

 

みどりさんと

藤田真央さんは、

 

コンサートの他にも、

高齢者や被災地等の

施設に出向いて、

演奏してくださっていた。

 


 

 

 

五嶋みどりさん。

藤田真央さん。

 

スタッフの皆さん。

関係者の皆さん。

 

 

ホープ・コンサートを開催するために、

ご尽力くださったすべての皆様に

心から御礼申し上げます。

 

 

 

お陰様で、私にとって

あのコンサートは、

どうにもこうにも忘れ難い、

一生の思い出となりました。

 

 

 

改めまして、

御礼申し上げます。

 

 

 

本当に、本当に。

 

どうもありがとう

ございました!

 

 

 

 

 

 

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