里親決定!part3 | 35歳年上の夫は師匠でエイリアン! 

35歳年上の夫は師匠でエイリアン! 

【夫】台湾人 × 【妻】日本人

国際結婚? いえ、惑際結婚ですから!

気がつけば2男1女。

あの男を見ていると、とても同じ人類だとは思えない。
漢方薬を水なしで飲めるなんて
一体どんな味覚をしてるんだ、あのおっさんは。


里親決定!part1
里親決定!part2



「うちに高校生の娘がいますから、帰ったらやり方を訊いてみます。」




里親さんがこう言ってくれた。

うちにも高校生がいるんですけどね...
里親さんのお宅がある金沢へ、友達と遊びに行っちまったんですわ。




「そうですか...? それじゃあ、すみませんが、よろしくお願いします。」





ああ。自分が情けない。





「トイレの砂、少しもらえますか?」





前日、メールで里親さんにこうお願いされていた。
花ちゃんにトイレに慣れてもらうために使うのだろう。

猫は、自分のおしっこの匂いがついたものが入れてあると、
そこがトイレだと理解するという。




さあ。お別れだ。




きっと、花ちゃんもそのことを知っていた。

花ちゃんは、とても賢い子だ。
前日の私たちの会話を聞いていて、自分の身の上に
起こることを、ちゃんと理解していたのだろう。

粗相など一度もしたことのなかった花ちゃんが、
もらわれて行くの日の前の夜だけは、トイレ以外の場所で用を足した。

猫は、ストレスを感じると、トイレ以外の場所で
お漏らしをしてしまうと聞いたことがある。



大好きなママと別れること。
一緒に生まれ育ったきょうだいたちと離れ離れになること。



きっと、花ちゃんは分かっていたに違いない。

そしてあれが、人間の言葉で自分の気持ちを伝えることのできない
花ちゃんの、精一杯の意思表示だったんじゃないだろうか。

花ちゃんは、きょうだいの中で、誰よりも
このうちにいたかったんだと思う。

ママやきょうだいたちと、それから私たちと、ずっと仲良く
一緒に暮らしたいと思っていたんじゃないだろうか。

普段の花ちゃんを見ていると、自然とそう思えた。


夜の就寝時、二階へと階段を上る私たちの後を
花ちゃんはちょこちょこと追ってきたものだった。

まだ小さくて階段を上れない花ちゃんは、それでも声を出して
私たちに呼びかけながら、一生懸命について来ようとした。





「僕、いい子にするよ。みんなと仲良く暮らせるよ。」




きっと、物心ついて、私たちと一緒に居間で暮らし始めてからずっと、
花ちゃんはこう思いながら、ことあるごとにこう言いながら、
私たちの膝の上に乗ってきていたんじゃないだろうか。


甘え上手で。お話し上手で。愛くるしくて。
そんな花ちゃんが、私は大好きだった。





花ちゃん。ごめんね。





今も涙が出る。


里親さんに抱っこされてうちを出て、里親さんの車に乗り込むその時まで、
花ちゃんは、一切鳴くことも暴れることもなく、ずっと大人しくしていた。

そのことが、なおのこと私の気持ちを辛くした。






「すみません! 何か住所を確認できるものを見せて頂けますか?」






気持ちが動転していて、里親さんの住所を確認するのをすっかり忘れていた。
本当なら、譲渡契約書にサインする時に、しなければならなかったことだ。

里親さんは車の免許証を見せてくれた。
譲渡契約書に書いて下さったのと、同じ名前と住所であることを確認。






「花ちゃん。じゃあね。元気でね。」





花ちゃんを乗せた車の中を覗き込んで手を振った。
お辞儀をして、うちの前の坂を下っていくのを見送った。

花ちゃんとは、もう二度と会えないのかもしれない。

もし会うことができたとしても、その時はもう、
子供たちと私がつけた、花五郎という名前ではない。





花ちゃん。どうか幸せに。





里親さんが帰ってから、もう一度あの緑のアプリをいじり回していると、
どういうわけだか、里親さんとちゃんと繋がっていて、
メッセージも送れるようになっていた。





ああ。よう分からん。

さっきはできんかったじゃないか! 人間おちょくっとんのか。
膨らんだ餅みたいなデザインしやがって...


ええい小癪な。


本来なら、お互いにLINEをやっている同士が電話番号を交換したら、
自動的にLINEにも登録されるんですよね?

違いました...?





里親さんからは、無事に新居に着いた花ちゃんの写真が送られてきた。

花ちゃんより少し前ににもらわれてきたという先輩猫に
寝技をかけられて、少し困惑した表情の写真ではあったが...


ただ。

先日、里親さんが送ってくれた写真には、新しくもらわれてきた
3匹目の子猫に、今度は花ちゃんが思い切り寝技をかけている姿が写っていた。



ちょっと。花ちゃん。ダメよ?
まだ小さいんだから... 優しくしないと。




里親さんのお宅ですくすくと成長している花ちゃんは、
あんこが大好きで、独り占めしようと威嚇するそうな。

いいねえ。花ちゃん。そういうところ。
私にそっくりで、大いに好感が持てるわー。

さすがは、うちで生まれ育った子だ。

好きな食べ物は誰にも譲らん。絶対。
親も子もない。以上。






達者なのね。花ちゃん。






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 みんながまだ小さかった頃。みんな本当に可愛かった。
 あんこの取り合いもなかったし 笑。