勉強になります!ハーレム教会のブラック・ヒストリー・マンスby松尾公子 | ニューヨークとハーレムと音楽のはなし

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NYハーレムの高級住宅街に暮らして22年。「好き」を仕事にした女社長、音楽プロモーター&NYコーディネイターKimikoが綴るニューヨークの話、ハーレムの話、音楽の話、エンタメ、差別問題、映画、ファッションetc.

毎年2月はブラック・ヒストリー・マンス(黒人歴史月間)。

アメリカにおける黒人史(奴隷制度、奴隷開放運動、公民権運動等や、

それにまつわる偉人とその功績など)を正しく回顧し、次世代にも正しく伝えていこう

というイベントが、各地で沢山行われています。

 

 

私が毎週通っているハーレムの教会でも、例年、ジャンベ奏者が軽快に演奏し、

教会のダンスミニストリーが、アフリカのカラフルな民族衣装を纏い、アフリカンダンスを華やかに披露するので、

私も毎年2月にはアフリカの衣装を来て教会に行くのを楽しみにしてますが

 

 

今年は特別に、教会の音楽ミニストリーが、

「Spiritual-黒人霊歌で綴る奴隷時代の救い」を演劇でプレゼンテーションすることになり、私も演らせていただきました。

奴隷時代の服装をそれぞれが再現。

経済学部だったのに黒人史ばかり自分で勉強していたので(笑)、イメージも準備も万端!
Slave Clothingで以下の歌を歌いました。

 

<ソングリスト>

1.When I Rise

2.Wade in The Water

3.The Old Ship Zion

4.Jorden River

5.Ain't That Good News

6.Swing Low Sweet Chariot

7.Hush

8.Oh Freedom

 

 

<以下、補足説明を入れておきますね>

1. When I Rise 

今度目覚めたら、もう朝だよ。
歌いながら、叫びながら、神聖な気持ちで起き上がりたい。

イエス様に会いたい。。。

★詩篇30章に「夜はよもすがら泣きかなしんでも、朝と共に喜びが来る。」とあるように、他にも聖書の中には、「朝」は希望の象徴、つらいことや苦労は一生続くのではなく必ず朝が来るよ、というメッセージが沢山あります。

 

日が昇って沈むまで、ずーっと綿花畑などで倒れるほどの過酷な重労働を強いられ、最小限の食べ物と着る物しか与えられず、信じ難いですが白人からの「合法の」暴力・強姦があったという奴隷時代、やがて朝が来る、と信じるしか生きる力は沸いてこなかったのだと思います。

 

2.Wade in The Water

水の中を行け、子供たちよ。神が水を乱すでしょう。

★「出エジプト記」などで有名な”モーセ"が海を割って入るシーン”を歌っているようですが、黒人霊歌には”ダブルミーニングDouble Meaning”といって、暗号としての役割を果たした「二重の意味(暗号)の歌」が沢山あります。

もちろん集まったりすることも禁止されてた時代。歌が遠くから聞こえたら、それをそっくりそのまま自分も歌い、、畑や川で働く者が次々と歌(暗号)を回していく。

それを聞いて奴隷が逃亡を決行すると、奴隷主は凶暴な犬を使って追跡して来るので、水に入って臭いを消し追っ手をまく、「水の中(川など)を逃げよ」という暗号ですね。

 

<関連過去ログ>

黒人初、アメリカドル紙幣のデザインになる女性の話 (2016年6月)

 

 

3.The Old Ship Zion

シオンの古い船に乗りなさい、水の中に危険は無いから。

 

 

4.Jorden River

ヨルダンの河を渡るよ、もうひとつ、もうひとつ、もうひとつ越えると、、、

イエス様が待ってるだろう、もうひとつ、もうひとつ、、、。

 

5.Ain't That Good News

私は御国で冠をもらった(ローブをもらった、救い主が来た)、良い知らせだろ!
この世を捨てて、十字架を背負って、イエス様の元へ、天国の”家”へ行くんだ、良い知らせだろ!

★「Home」は天国。奴隷は家族もばらばらに引き離されて売られ、鞭で打たれたり、生きてる毎日が苦し過ぎるこの現世を終え、天国(家)に行けたらやっと家族とも再会できる(生きている間は自由もない、幸せになれない、死後の想像の世界に思いをはせる時だけ自由や希望が見出せた)という、ほんとうにつらい時代ですよね。

 

6.Swing Low Sweet Chariot

 

★(見つからないように)静かに揺れてくれ、愛しい荷馬車よ、わたしを家(天国)へ運ぶために来ておくれ。

 

 

7.Hush

 

★しーっ、静かに。誰かが私の名前を呼んでる。おー、主よ、どうしましょうか。

 

 

8.Oh Freedom

★おー、自由を!奴隷になる前に(奴隷になるくらいなら)、私は墓に埋められたい、そうして主のもとへ、天国に行って自由になる!(ダブルミーニングで、”もし反抗して死んだとしても、天国に行けば自由になれるのだから恐れないぞ、自由をわが手に”)

 

教育が受けられなかったので、スピリチュアルソングはシンプルな英語の繰り返しが多く、
それゆえにダブルミーニングも伝わりやすかったのだと思います。

今回も、「Water」は”ワーター”と歌うように(アフリカの訛り、それと”ワーター”のほうが聞く人の耳に届きやすい)とか、色々また勉強になりました。

 

アフリカン・アメリカンの歴史はアメリカの歴史そのもの。
また、アメリカは世界各国からの移民の多彩な能力によって、こんなに短期間で世界の大国、自由の国となってきたのに、、、、昨今はどこに行っても不安と怒りと団結のムードです。
時代が巻き戻されること無く、正しい方向へと導かれますように。。。

 

畑で働くイメージの人は麦藁帽子を、私はハウス・スレイブ(家事奴隷)のイメージでエプロンとフレアスカートにしました。

 

 

過去にも沢山ブラックヒストリーマンスについて書いてます。

今、自分で読み返しても面白い。。。。是非どうぞ。

 

<過去ログ>

2月はアフリカ衣装でお出掛け (2015年2月)

 

黒人の文化的遺産~Black Heritage (2010年2月)

 

ブラック・ヒストリー・マンス。其の一 (2009年2月)

ブラック・ヒストリー・マンス。其の2 (2009年2月)

 

 

 

●NYハーレム案内人 松尾公子 Kimiko Matsuo
NYハーレムの黒人コミュニティにどっぷり浸かって15年の音楽プロモーター、ディレクター、NYコーディネイター、黒人教会ゴスペルクワイヤーメンバー、Harlem Japanese Gospel Choir代表(マクドナルドゴスペルフェスト史上日本人初出場で初優勝など、”日本人初”を次々切り開くパイオニア)。

 

●Kimikoのプロフィールはこちら

 

 

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