「KABRI_26」多言語夫婦 | 針金師フーテンの日々☆スイス・チューリッヒ・ニーダードルフ物語

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ヨーロッパでスイスはチューリッヒでの路上テキ屋物語、ドロップアウトした青春ストーリー

 


私とクラウディオ(Claudio)

多言語夫婦。

招待を受けたファミリー、このカップル、普段は何語を使うのだろう。

夫のクラウディオ(Claudio)はアルゼンチンから18年前に、
ここキブツ「KABRI」に来たそうだ、
で今、36歳だから18歳の時に来たのです。
18年、ここにいたらそれなりにヘブライ語も話せるかもしれないが、職業が
メカだから、あまり言葉を覚えるタイプではないかも……
基本的にラテン系の人々は英語をあまり話せないから、英語はダメだろう。

奥さんのオウドリー(Audrey)、やはり36歳だが4年前にカナダは
モントリオールからここに来たそうで、どうりでフランス語を話すわけです。
モントリオールはケベック州でカナダのフランス語圏なのです、しかし
カナダですから英語も話せるわけです。
だけど、ヘブライ語はまださほどではあるまい、イヤイヤ、カナダに
住んでいたころから、基本的なヘブライ語は話せたであろう、とも思う。

結婚は2年半前、子供が今年6月に生まれ、今、生後5ヶ月の女の子です。
二人の実の子供はこの子だけですが、
ステファン(Stephane)、18歳の高校生と、ハイム(Haim)、小学生の男の子、
この二人の親代わりもしております。

キブツ・ペアレントと呼ばれまして、実の親は外の世界で働いているための
里親のような関係でしょう。

ステファンとハイムとまだ赤ちゃんのこの子(Dana)とは、ファミリーの中で、
兄弟になります。
そして、私が今回このファミリーに招待を受けました、と言うことは、
我々のファミリーの一員になりませんか? とういうインビテーションでも
あります。

このようにボランティアであれ、キブツの中に個人的に付き合えるファミリーを
持つことが出来ます、勿論、相手側に気に入られなくてはそうなりません。
それにはインビテーションを受けなければそうなりません。
ファミリーを持ちますと、その家族の一員として見られまして、子供達とも
同じファミリーなら兄弟的関係になります。

どうって事もないのですけど、子供達もそのように認識してますので、そうなる。
週末、家族の元に子供達は帰ります、その時一緒に過ごす子供同士って関係。
私がこのファミリーの一員になれば、ここに週末集まる子供とも兄弟的関係です。

こうした関係は個人的な付き合いです、プラーべートな付き合いになります。
キブツの中での諸々の規制は受けません、キブツの運営は共産主義的平等ですが
ファミリーレベルでは自由でなんら普通の家庭と同じです。
ですので、キブツを出たからと行って関係は終わりと言うわけではなく、
普通の友達同士なわけで外の社会と同じです。

クラウディオ夫婦、いい生活をしています、何となく余裕。

ステレオがありまして、アンプはマランツです。
フィリップスのオープンリール、スピーカーはJBL。
LPが150枚くらい、どんなのを聞くかと訪ねた、なんでも聞くのだそうだ。
と言うことは、特にクラッシクを好むとか、Jazzを愛していてというのでもなく、
ごく普通にステレオを持っているのです。

そのとき流れていたのは、レッド・ツェッペリンでした、AC/DCなども好きみたい。
私がその頃よく聞いていたのは、キースジャレットの「ケルンコンサート」、
リーッキー・リー・ジョーンズ、フィル・コリンズ、キム・カルネス、そして
日本から送ってもらった、喜多郞の「シルクロード」そんなところです。
そう、クラプトンも良く聞いていたな……全部カセットテープでです。

寝室も見せてもらいました。
ダブルのウオーターベッドです、全く……いいですネ。
全体はどんなかと、リビングとキッチンと寝室、それにバストイレです。
狭くないです、充分広いです、二人だけの生活スペースですから。
そして、この家は家賃なし、電気、ガス、水道、全て無料です。

当時の日本の平均的な家庭から比べ、どうなのでしょう、かなりレベルは上です。

ここでボランティアとして働いて、1ヶ月に240チェッケルの報酬が得られます。
およそ15倍しますと日本円になりますので、3600円がボランティアの報酬。

メンバーがどれくらいの報酬を得るか知りませんが、生活費のほとんどかからない
こうした環境、悪くはないと思いました。

あれ? この夫婦は普段何語を使うのかでしたネ。
二人の会話はヘブライ語です、しかし私はヘブライ語を全くわかりません。
そこで、旦那が私に話しかけるときは、スペイン語です、そして奥さんが私に
話しかけるときは英語です、しかし旦那は英語が苦手なので、私に話した後、
ヘブライ語で旦那に説明します。 

とってもインターナショナルでおかしな家庭です。

 

――つづく――