「KABRI_25」ファミリーからの招待 | 針金師フーテンの日々☆スイス・チューリッヒ・ニーダードルフ物語

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ヨーロッパでスイスはチューリッヒでの路上テキ屋物語、ドロップアウトした青春ストーリー

 


オウドリー(Audrey)と息子(Dana)


ファミリーからの招待。

今日キブツ・ファミリーから招待を受けた。

なんてことはないのですけど、そこの家庭に行って、お茶をご馳走になる。
だけど、ここではそんなのがチョットした意味があります。

ボランティアでキブツ・ファミリーからの招待を受けるってことは、
自分もそのファミリーの一員として迎えられる、ってそんな感じかな。
「キブツ・ファミリーを私は持っている」って事なんです。

それがどうって事もないのですが、とりあえずボランティア連中の
ステイタス、可笑しいのです。

デンマーク組の真面目な連中でも、キブツ・ファミリーから招待を受けたのは
15人中、5人くらいしかいないわけです。 
ステイタスなのです。
「私、今度の週末、ファミリーに招待されているのよ」とか、いえるヤツは
週末もそれなりに忙しいわけです。

キブツ・ファミリーを持っていないと、週末はディスコでビールをくらって
どんちゃん騒ぎ、ってパターンなのですけど。

キブツ「KABRI」のメンバーは宗教色が強く、そうしたファミリーからの招待は
意外と厳粛なムードが漂います、ビールが出てきて、まあ、駆けつけ3杯って
ムードではありません。

招待されたのは、ジュエリー・ファクトリーで働いている女性の家庭。
彼女はフランス語を話します、夫はアルゼンチン人でガレージで仕事をしてます。
多分、このキブツの中でもハイクラスな家庭だと思った。



キブツでは全てが共有財産と言いましても、家庭の中は違います、
テレビであれ、家具であれ、食器であれと個人所有で個々の家庭はあります。
子供のいる家庭でも、普段は一緒に暮らしておりません、週末、金曜日だけ
子供達も家族の元に帰って参ります。
と言っても、同じ敷地の中で暮らしておりますから、自分の息子や娘を
お昼の大食堂で見かけたり、バナナ園で仕事をして帰ってきた姿などは遠目に
見てはいるのでしょう。

メンバーの中には色々な職業の人がおりまして、こうしたファミリーからの招待が
ないと、その人がどんな職業なのかって、まずわかりません。

分かるのは、バナナ園とかオレンジ園とかチキンとかそういうところで働いている
メンバーは顔見知りになりますけど、専門的な仕事をしている人もおります。

お医者さん、心理学者、歴史学者、教育者、そうした人達もおります。
たとえば、子供教育に関しても、その専門家もメンバーの中にいるわけです。
で子供達の成長を見守り観察した記録は、自分のキャリアーになっていくといった
職業の方もおります、そしてそうした専門分野の著作は大学ともコネクトされて
社会貢献されている、そんな構図です。

こういう社会といいますか、国といいますか、そうして培われたノウハウ知識は
社会全体で分かち合う、それがユダヤ社会なのか、と思った。

訪れたファミリー、夫は明るくノンキそうな人柄、対して奥さんはインテリそう、
ここではスペイン語と英語とフランス語とヘブライ語が家庭内の公用語。

招かれて、あー、もっと言葉が出来たらナー……

 

――つづく――