パーキンソン病の進行について考えてみた
初期におけるパーキンソン病の進行について考えてみました。
私の経験がベースで、右側に症状が強く出ているので、右側を例にとります。
- 右足の引き摺りがひどく普通に歩けなくなっていくのは、パーキンソン病が進行している??
- 右手でお箸や歯ブラシがうまく使えなくなっていくのは、パーキンション病が進行している??
昨年、上のように運動症状(固縮)がどんどん悪化していったのでパーキンソン病の進行をとても心配しました。
しかし、今は、
パーキンソン病の進行
と
パーキンソン病による運動症状の進行
は同じではないと考えてます。全く別物でもなく、関係はあるのですが、同じではないですね。
PDねっとより引用した図で説明します。
① パーキンソン病は(上図①)黒質のドパミン細胞が減ることで起こります。
よって、
”パーキンソン病の進行”=”黒質のドパミン細胞の減少”
と言えます。
文献によると通常の50%くらいまで黒質のドパミン細胞が減少すると運動症状が発生するそうです。
DATスキャンで私のドパミン細胞は半分になってました。
次に
② ドパミン細胞が減りドパミンの生産が減ると、運動の指令を伝える(上図②)線条体でのドパミンが減ります。
文献によると、線条体でのドパミンが通常の10~20%以下になると運動の指令がうまく伝わらなくなるそうです。
えー、ドパミン細胞は50%に減ったとき、なぜ線条体のドパミンは20%まで下がるの?とちょっと不思議に思いました。
よく考えると、線条体でドパミン消費量が55%だとすると、50%しか生産できないと、
50%(生産)ー55%(消費)=-5%のドパミン不足、つまり赤字
に陥るわけです。-5%は0以下なので、ドパミンが線条体になくなるわけです。運動の指令がうまく伝わらなくなります。
これは右側(左脳)の話で、左側(右脳)にはまだドパミン細胞が60%残っているとすると、
60%(生産)ー55%(消費)=+5%のドパミン余剰、つまり黒字
で、ドパミンは黒字で、運動の指令が伝わります。体の左側には症状がでていないのです。
上の赤字を解消するのが服薬(レボドパ)で、レボドパで+20%できれば
50%(生産)+ 20%(レボドパ)ー55%(消費)=+15%のドパミン、つまり黒字
で、運動の指令がうまく伝わります😀
ただし、レボドパは飲んだ時は+20%増えるのですが、時間と共に減っていき線条体のドパミンが不足した状態に戻ると、また運動の指令がうまく伝わらなくなります。薬が切れてくると運動の指令がうまく伝わらなくなります。
運動の指令が伝わらない状態が続くと、
③ (上図③)筋肉に誤った指令が伝わることが常習化していて、筋肉が固縮したり動かなくなっていきます。
筋肉が固縮した状態が常習化すると、レボドパを飲んで線条体から筋肉に正しく指令を出そうとしても筋肉は正しく反応してくれません😅
私は、股関節が固まって(拘縮と言うそうです)、体の右側の筋肉(インナーマッスル含む)に固縮が出て、さらに右足首にジストニアの症状がありました。
治すには、筋肉に正しい指令を送れるように服薬+運動・リハビリをして、筋肉に正しい動きを再度覚え込ませる必要があるのだと思います。とーるさんのブログにも記事があります。
経験では、これには数ヶ月以上かかる感じです。適量のレボドパの服薬を始めて、数ヶ月経って戻ってくる感じです。
もう一つ厄介なのが、筋肉が固縮した状態が続いていると、そこにある神経にもダメージがでるようです(筋肉をちゃんと動かせない)。私の場合は、筋肉の固縮が解けてきても、神経の働きが落ちていて、力がちゃんと伝わらないようになってました。これにも、運動・リハビリをして神経の働きを回復させる必要があり、さらに数ヶ月といった時間がかかる感じです。
ゆっくりゆっくり復活してきてます。
いよいよ、
パーキンソン病による運動症状の進行
を考えます。
運動症状が悪くなるということは、②の線条体でのドパミン不足が続き、③の指令を与える筋肉(+神経)が正しく動かなくなっていくことです。
②の線条体でのドパミン不足により引き起こされるので、黒質のドパミン細胞の減少(パーキンソン病の進行)が進んでいなくても、運動症状の悪化が日に日に進む場合があります。
実際、パーキンソン病の進行(ドパミン細胞の減少)は数年以上かけて進むのですが、運動症状の悪化(進行)は数ヶ月で起こってしまいます。自分の体に起こっている症状の変化が、パーキンソン病そのものが進行しているのか、それとも線条体でのドパミン不足で筋肉(+神経)がダメージを受けているのか、判断することが大事だと思いました。
適切な服薬(+運動・リハビリ)により、運動症状の悪化(進行)は止めれる、いや、改善することができるのです。知っている人には当たり前のことかもしれないのですが、PD初心者の私にとっては発見でした。
ここでは理想論を述べました。
パーキンソン病の皆さんが日々苦労しているように、「適切な服薬」は簡単ではないです。
副作用をどうするかも大問題です。主治医と患者のチームワーク(薬の選択)も大事です。
病気の初期においては、少量(300mg/日くらい)のレボドパで②の線条体でのドパミン不足の解消が可能で、ハネムーン期と呼ばれます。
進行期に入ると①の黒質ドパミン細胞が20%以下まで減少しているので、②の線条体でのドパミン不足を解消するには、より多くのレボドパやドパミンアゴニストの追加が必要になってきます。進行期の服薬に備えるためにも、初期に治療法(適切な服薬)を確立しておくのは大事な気がします。
次の論文の結果(第51回日本神経学会総会「MAO- B阻害剤を用いた早期治療の是非」より)は、適切な服薬(MAO-B阻害薬+レボドパの調整)で運動症状を78ヶ月(6.5年間)抑えれると報告しています(下左図のオレンジの線)。
ただし、レボドパの量は当初300mg/日ですが、78ヶ月後には500~600mg /日に増えています(右図)。
この結果は全年齢の平均なので、若くで発症した人はもっと長く運動状態を維持できるかと思います(パーキンソン病の進行と症状①(発症年齢について))。レボドパの増量を避けたい場合はドパミンアゴニストを追加する手があります。
今回言いたかったことは、
① パーキンソン病の進行よりも、運動症状の進行が早く進むことがある。
(*)2023年の私のケース
パーキンソン病そのものが進行しているなら、体の両側に症状が出てくる、オフがはっきりしてくるはずで、片側だけで運動症状が悪化していたのは、線条体でドパミン不足が続いていたからだと考えてます。
② 運動症状の改善には
・服薬による線条体におけるドパミン不足解消
・運動リハビリによる筋肉(+神経)の正常化
が必要だということです。
最後ですが、私を含めて、朝は調子が良いが夕方から調子が悪くなると感じている人も多いと思います。
これを説明するには、
* 朝は体の活性が低く(体内の血糖値が低くエネルギーが低い状態)、ドパミンの消費が少ない。上の例でドパミン消費が55%でなく、45%だったりする。
50%(生産)ー45%(消費)=+5%のドパミン余剰、つまり黒字
* 寝ている間はドパミンの消費が少なく、その間に生産したドパミンを貯金しておくことができる。よって、朝にはドパミン貯金が存在する。
50%(生産)+ 10%(貯金)ー45%(消費)=+15%のドパミン余剰、つまり黒字
と考えています。
簡単のために、ドパミン不足からの運動症状だけを考えました。
ドパミン細胞にドパミンを蓄える(正確にはシナプス小胞に蓄える)機能がある説明は省いたので、いつかそのことも話したいと思います☺️
長文を読んでいただき、ありがとうございます😊