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第五章 【追い込み】 その1

武藤は呼鈴の音で目が覚めた。


昨夜のままの服でベッドにうつ伏せになり、かなり深く眠っていたらしい。


ここに午前中、人が訪ねてくる事はまずない……悪い予感がする。


呼鈴とノックが交互に部屋に響いている。


控え目なノックだがドアを叩いているのは間違いなく男だ。


ドアに近づこうとして立ち上がるとテーブルにひろげたシャブが目に入った。


もし警察なら逃げ場はない。


武藤は慌ててシャブを搔き集めトイレに流した。


顔を洗い髪を掻きあげると鏡に映る顔は死人のようだった。




するといつの間にか呼鈴は鳴りやんでいた。


ドアの向こうに人の気配も無くなっている。


新聞の営業か宅急便ってとこだろう。武藤はシャブを流した事を後悔した。


背中に罵声でも浴びせてやろうとロックをあけた……。



勢い良くドアが開き、後ずさった武藤は腹を蹴られ部屋の中まで転がった。

「何すんだコラ」


武藤が顔を上げるとスーツ姿の屈強な男が二人立っている。

「武藤だな。俺たちは篤誠会のモンだ」


ついに来る時が来たと思ったが現実味がなく武藤は考えていた程の恐怖は感じなかった。

「これから女と逢うんだ。無茶すると警察呼ぶぞ」


一人が目の前にしゃがみ武藤の顔を覗き込んだ。

「うちの木庭さんがお前を呼んでるんだ。用件は解るだろ?」

「解んねぇし行く気もねぇよ」


言い終わると首筋に冷たい感覚を覚えた。


しっかり5秒間スタンガンから武藤の体に高圧電流が流された。




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