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第十一章 【神のプログラム】 その2


涼子の目の前でボブから手をはなす木庭。


「価値のねえ人間の土下座がナンになる?」


ボブの脇腹を蹴り付ける。

呻くボブ。

「やめて下さい!」


戸田に抑え付けられたまま叫ぶ涼子。


木庭は容赦なく更に蹴りつける。


「ウヘッ!」


吐瀉物を撒き散らすボブ。


安西と武藤は思わず目を背け、涼子は力の限り叫ぶ。


「お願いします! やめて下さい!!」


無情にも更にもう一発蹴りつける木庭。


耐えきれず自分の吐瀉物の中に顔を埋めるボブ。


「どうしたリョウコさん、泣いてんのか?」


涙目で木庭を睨み付ける涼子。


「お前等ホント変わってんな。自分より他人の苦痛の方が辛いのか? ありえねえ、絶対ありえねえ。 お前等のそう言う善人ぶった態度、マジムカつくんだよ。」



肩を掴みボブを仰向けに転がす木庭。


虚ろな目で今にも気を失いそうなボブに話掛ける。

「なあボブさん、あんたなんか関係ねえのにいい迷惑だろ?」


血の混じった吐瀉物が付いた右手を木庭の服になすりつけるボブ。


思わず後ろに飛び退く木庭、反射的にボブの脇腹を蹴る。


蹴られたボブは体を丸めてむせる。



『全く胸糞悪りい』木庭は心で呟いた。


こいつ等の行動は、また忌まわしい性善説を思い起こさせる。


タイガイの奴等は暴力で負荷かけりゃナリフリ構わず命乞い。


言い逃れる為ならどんな嘘でもつくし、例え親でも売り渡す。


良心も尊厳もあったもんじゃねえ。


ところが稀に眠ってた善意を目醒めさせる馬鹿がいる……。


目醒めた善意は次々に反応しあい、連帯を強め…… 『悪は究極の孤独だ』と声高に叫ぶ。


そのうち油断してりゃ悪人のそれにも訴えかけて改心を詰め寄る……


きっと神がプログラムした迷惑なメカニズムだ。


連帯なんて糞喰らえだ。俺は俺の為だけに生きる。


俺はその為に枷になる良心や善意を根絶やしにしたんだ。


で、今度はお前等の中からも消し去ってよるよ。



心より暴力が、神より悪魔が最後に笑うさ……。



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