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第十一章 【神のプログラム】 その3

「こうしよう」木庭が誰にともなく話しだす。


「俺も気分に任せて痛めつけるのもどうかと思う」



そう言うと安西、武藤、涼子、ボブの顔を見回す。


意識が朦朧としたボブ以外は木庭の表情に注目し、次の言葉を不安と僅かな期待の中で待った……。


「その小僧」 木庭はボブを指差した。 「そいつは今回の件には無関係だ」


「涼子もな」


安西が口を挟むが木庭は聞き流す。


「そいつは解放してやろうと思う。どうだ?」


「是非、お願いします」 木庭の思わぬ提案に涼子は安堵の表情を浮かべた。


ボブは起き上がり木庭に訴えた。


「俺はいい。涼ちゃんだけでも解放してくれ」



「あそこにいる3人を俺の好きにして良いって言えば、お前を解放してやる」


薄笑みを浮かべてボブの表情を窺う木庭。


「俺は助けに来たんだ」 ボブのその声はまだ微かに震えている。 「言う訳ねえだろ」


いきなりボブの頬を殴り付ける木庭。


思わず目を逸らす涼子。


勢い良く弾き飛ばされたボブは倒れた観葉植物にぶつかって止まった。


「じゃあこれから俺の暴力に耐えろ。お前が最期まで俺に許しを乞わなけりゃ、あの3人は解放してやる」


『最期?最期って?……』

ボブは木庭のその言葉で今まで感じた事のない恐怖に襲われた。


構成員が木庭の指図でボブを連れ戻す。


木庭はボブの瞳を覗きこみ、そこに恐怖の色を感じ取った。


『こいつ簡単にオチる』


二人の構成員に両側から支えられたボブ、


その喉を右手で鷲掴みにする木庭。



「木庭! 悪趣味な事やってんじゃねえよ」 安西が叫ぶ。


木庭の右腕にしがみつき、口を開き必死に呼吸するボブ。


その表情を楽しみながら木庭は更に強く喉を締め付ける。


ボブの顔がみるみる赤黒く染まっていく……。



『なんで俺がこんな目に』ボブは心で繰り返していた。


勘弁してくれよ。人生、マシになるどころか終わっちまうじゃねえかよ。


苦しいなぁ。ホント苦しいなぁ……。


何一つ俺の思いは報われないまま死んでいくのかなぁ?


こんな悪党の手にかかって、涼ちゃんも護れずに……。


堀渕さん、アンタの言うことやっぱ綺麗事だわ。現実世界じゃ通用しない。


皆自分を護る事で精一杯なんだよ……。


参ったって言おうかな。


どんな正論でも俺を責めらんないよな……。




「やめてください! お願いします、やめて下さい!」 力の限り叫ぶ涼子。


「聞こえるか? あの声が」 ボブに囁きかける木庭。


今にも意識を失いそうなボブの全身はガタガタと震えだした。

「好きな女の声が死に際のBGMなんてイカしてんじゃん」

「足使えチビ!」 安西が思わず叫んだ。 「金的蹴り上げろ!」

「恐怖は全身を鉛に変える。こいつにゃ反撃は無理だ安西。黙って見てろ」



意識が遠のく瞬間にボブの全身から全ての力が抜け……失禁した。


気付いた木庭は慌てて手を放す。

「汚ねえなコイツ! 小便漏らしやがった」


ボブの意識が無くなった事を確認し二人の構成員も手を放した。



自分の小便の中に崩れ落ちるボブ……。




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