↑中東メディアのアルジャジーラ。

2日前(10月16日)の記事ですが。

 

パレスチナのガザ地区最古のキリスト教会である

聖ポルフュリウス教会(ギリシア正教)が、

ムスリム、クリスチャンを問わず

様々な宗教をもつ家族たちの避難所になっているという内容。

 

そこに身を寄せ合う人々の様子がリポートされているので、

私の私訳と感想を交えつつシェアします。

記事は英語ですが、ブラウザの翻訳機能を使えば、

かなり自然な日本語で読めると思います。

 

 

【記事の概要】

 

‘War knows no religion’

:Gaza’s oldest church shelters Muslims, Christians

 

・本物の宗教(神)を知らない者が戦争をする

 

・ガザのキリスト教会に避難してきた家族たちは

 パレスチナ人という共通アイデンティティをもっており

 イスラム教徒もキリスト教徒も共に平和を祈っている

 

・ガザ最古のキリスト教会は昔も今も

 恐怖の最中にある人々を慰める聖地である

 

・この教会もいつイスラエルに爆撃されるかわからない

 

・キリスト教会の一つ屋根の下で

 異なる宗教の家族が身を寄せ合っていること自体が

 (武力紛争に対する)抵抗運動だ

 

・たとえイスラエルに殺されても

 我々パレスチナ人はパレスチナ人として共にありつづける

 

 

 

■まず記事タイトル

‘War knows no religion’ について。

 

直訳は「戦争は宗教を知らない」ですね。

 

パレスチナ問題は宗教問題、宗教紛争、宗教戦争だと、

とくにユダヤ教 VS イスラム教、聖地を取り合う争いだと、

日本でも世界でもそう思われているでしょう。

私もそう思っていました。

 

しかしアルジャジーラの記事を読むと、

どうも今回の紛争は「宗教戦争」ではないようです。

 

以下、私個人の感想ですが。

 

今回のパレスチナの武力衝突は、宗教戦争じゃなくて。

 

本物の宗教を知らないゆえの戦争。

無宗教者の戦争。

 

 

皮肉なことに、各自の宗教を最前面に出して、

 

ユダヤ教:旧約聖書にこう書いてある!

     イスラエルはユダヤ人の土地!

 

ムスリム:神は偉大なり!

     アッラーアクバル!!

 

と爆弾を投げ合う勢力は、

 

・本物の神を知らない

・神を知らないのだから、神を信じない

・神を信じないのだから、宗教も信じない

 

結論:彼らは宗教を知らないから神を悲しませる戦争を平気でする

 

戦争は宗教を知らない

‘War knows no religion’

 

ということのようです。

 

 

まことの神を知っているなら、

神が平和を愛する神だとも知っているはず。

 

私はイスラム教の教義は間違っていると思います。

イスラム教はイエスを神の御子キリストとは信じないで、

立派な人間預言者としか扱わないから。

 

ただ、イエスが神であることを否定するからといって、

イスラム教徒が全員キリスト教を憎んでいるわけでもないし、

イスラム教がテロリスト養成宗教だとも思いません。

 

本気でアッラーとイスラム教に帰依している人なら、

アッラーが喜ぶ人道支援に重きを置くはずなんですよ。

 

実際に中東紛争の被害現場報道では、

赤新月社(赤十字のイスラム版)の救急隊・救急車が

いつも映っているじゃないですか。

危険な現場で人道的な働きをするムスリムも大勢いる証拠だと思います。

 

シリアのホワイトヘルメッツのように、

クルアーンの一節をモットーとした人道活動を続けるグループもある。

↑ whoever saves a life is as if they saved the whole humanity.
「ひとりの命を救う者は、全人類を救ったに等しい」

 

 

まことの神を信じる者は、神を畏れます。

神を畏れる者は、神の聖地も畏れるはずです。

 

旧約聖書の出エジプト記3章のモーセは、

神の聖地で靴を脱がされました。

 

--------------------

 

神は言われた。

「こちらに近づいてはならない。

履物を脱ぎなさい。

あなたの立っている場所は聖なる土地である。」

 

――旧約聖書『出エジプト記』 3章5節

 

--------------------

 

聖地では人間の靴を脱ぐ。

聖地に土足でずかずか踏み込んで荒らすなんてもってのほか。

 

土足ですら許されない聖地に爆弾を投げて

聖地を血まみれ穴だらけにするのは、

聖地を聖地と信じていない証拠。

 

神を信じていないから、神の聖地を粗末にできる。

聖地を聖地と思ってないから、

神は偉大なり!とか叫びながらテロ活動ができる……

 

たしかに旧約聖書には、中東の各地をイスラエルの民に与えるという記述がたくさん出てきます。

原住民を徹底的にジェノサイドして神の地を得なさいとも書いてあります。

 

でもそれとは相反する人道的な律法もたくさんあります。

寄留の外国人を虐待してはいけない、

復讐してはならない、

隣人を自分のように愛しなさいetc

 

シンプルなモーセ十戒でも6番目に「殺すな」と規定されています。

罪人は死刑にしろという律法だけきっちり遵守して、

殺すなという十戒を無視するのは、

神様が大嫌いなダブルスタンダードですよね。

 

 

結局、神様のどんな言葉も規則も、

うけとる側の人間都合でどのようにも解釈できてしまいます。

 

踊る大捜査線のスピンオフドラマの中で、

悪徳弁護士がこんなセリフを言ってました。

「裁判は倫理を争う場じゃない。

 オレはあんたの金次第で、裁判結果を白にも黒にもできる」

 

神様の御心や、聖書の内容もしかり。

人間都合で白にも黒にも解釈できる。

 

本当に神様を信じて畏れる者は、

人間の判断力が頼りなくて危ういことを知っています。

正しい裁き(判断)ができるのは神様だけだと知っています。

 

だから神について自分の意見や考え、信念は保ちつつも、

第三者に暴力的な手段でそれを強要する発想にはなりようがない。

だって自分が間違えてる可能性もあるのだから。

 

正しいのはただひとりだけ。

主なる神のみが正しい。

 

自分勝手に想像した神の正しさと、

本物の神様ご本人の正しさを見分けるには、

ひたすら神様に心を向けて祈るしかないです。

私たちの内にいてくださる聖霊様によるしかないですね……

 

 

--------------------------

 

もしあなたがたの地で、寄留者があなたのもとにとどまっているなら、虐げてはならない。
あなたがたのもとにとどまっている寄留者は、

あなたがたにとってはイスラエル人と同じである。

彼を自分のように愛しなさい。

あなたがたもエジプトの地では寄留者であった。

私は主、あなたがたの神である。

 

裁きにおいても、物差しや秤や升に関しても不正をしてはならない。
正しい天秤、正しい重り、正しい升と正しい瓶を用いなさい。

私は主、あなたがたの神、あなたがたをエジプトの地から導き出した者である。

 

私の掟と法をすべて守り行いなさい。

私は主である。」

 

――旧約聖書『レビ記』 19章33-37節

 

------------------------

 

 

 

アルジャジーラの記事では、

キリスト教会に避難しているガザ住民のクリスチャンがこう語っています。
 

“During the night, we huddle together, Muslims and Christians, old and young, and pray for safety and peace.”

 

私たちは夜通しいっしょに集まって、

ムスリムもクリスチャンも、老いも若きも、

安全と平和を祈っています。

 

 

神を信じる者が祈ることは皆同じ。

誰だって安全に平和に生きたいにきまってますよね……

 

記事の最後は、キリスト教会に避難中のSobehさんの言葉で、

こう締めくくられています。

 

 

To Sobeh, the fact that families of different religions are together under the church’s roofs amid the trauma of the bombing is in itself an act of resistance.

“Israel’s purpose is to shatter our community and displace us,” she added, her voice shaking. “They might be able to kill us. But we will continue to be together as Palestinians, dead and alive, Muslims and Christians.”


 

異なる宗教の家族たちが、爆撃のトラウマの最中で

キリスト教会の一つ屋根の下で共にいる、

そのこと自体がレジスタンス活動(武力紛争への抵抗)なんです

 

イスラエル国の目的は、

私たち(パレスチナ人)のコミュニティを遮断して退去させることです。

 

イスラエル国は私たちを殺せるかもしれない。

しかし私たちは、

死ねる者も生ける者も、

イスラム教徒もキリスト教徒も、

パレスチナ人として共にあり続けます。

 

 

今この時、ガザ最古のキリスト教会も

いつ爆撃されるかわからない状況ですが……

 

※(追記) このブログ記事をUPした翌日の夜に

この教会はイスラエルに爆撃されました。

 

 

ガザの聖ポルフュリウス教会(The Church of Saint Porphyrius)は、

キリスト教施設としての建物が建っているのではなくて。

イエス・キリストをかしらとする教会として立っている。

 

教会の屋根は、避難民を守る神様の翼といったところでしょうか。

今この瞬間も、神様の翼のもとに逃れて

共に祈る人々が世界中にいるはずです。

 

ベートーベンの第九の歌詞を連想しました。

作詞はシラーですが。

 

Deine Zauber binden wieder,
Was die Mode streng geteilt;
Alle Menschen werden Brüder,
Wo dein sanfter Flügel weilt.

 

あなたの御力(神の御力)が再び結び合わせた

時流が引き裂いたものを

すべての人々は兄弟となる

神のやわらかい御翼のもとで

 

 

ガザのキリスト教会に避難している人々は、

爆撃で焼け出されて行き場がないから、

やむなく教会に避難して集まっている弱者ではないようです。

 

異なる宗教の家族どうしが、神の御翼のもとに集い、

共に平和を祈るというやり方で、

武力紛争に抵抗している……祈りのレジスタンス!

 

 

神を信じて祈るという行為は、

日本ではあまり肯定的なイメージではないですね。

 

神を本気で信じるのは心が弱い阿呆だ。

ただ神に祈るしかできないのは無力な弱者だ。

神頼みはただの気休めだ。

宗教にすがるのは頭が悪い証拠だ。

神に祈るより人間的な知恵と努力で、厳しい局面を乗り切る手段を考えるべきだ。

 

日本ではそんな風に思われることが多いでしょう。

 

 

でも日本人がイメージする宗教と中東エリアの宗教は、

ぜんぜん意味も内容も異なります。

 

↓神に対する本気度も段違いです。

 

 

少なくとも、アルジャジーラの記事内のパレスチナ人は、

人間都合で困った時の神頼みをしているのではないですよね。

 

客観的には、行き場がなくて仕方なくキリスト教会に避難している弱者が、

他にすることもないから神様に平和を祈っているだけ。

 

でもまことの神を信じる当事者(本物の宗教を持っている人)は、

神への祈りをただの気休めとは思っていない。

神を信じる者の祈りは、

悪魔に対抗する力強いレジスタンス活動でもある……

 


教義的にはイスラム教は間違っていると思います。

 

でも神を信じ、神を畏れているから、

神の聖地としてキリスト教会も尊重していて、

キリスト教徒と共に平和を祈れるイスラム教徒は、

人の生き方としては素直に尊敬できます。

 

 

宗教問題を正しくジャッジできるのは神様だけです。

私ごときが考えてわかることではないです。

 

それでも覚えておきたいことがあります。
 
宗教戦争は、宗教者の戦争ではない。
神を畏れず宗教をもたない者どうしの武力紛争だということ。
本気で神を信じて神を畏れる者は、
火薬で戦わずに、祈りで闘う。
 
これは心にとめておきたいと思います。
 
 
 
 
 

※ 記事中の聖句引用元/日本聖書協会『聖書 聖書協会共同訳』

 

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