(1)ケアプランは無くても良い?
10年以上ケアマネをしていて、利用者や家族から感謝される事は本当に多かった。それは身近な専門職として、身体が不自由になる恐怖と戦う利用者や、介護という難題に茫然としていた家族に寄り添えたという「仕事の中身」が評価されたのだろうと思う。
では、ケアマネの仕事である「ケアプラン」というのはどうか。正直、このケアプランがあったから生き甲斐を見つけ、云々というのは無い。あるとすれば、目標を設定し、その目標に向かったサービスを実行していたという事で、ケアプランではなくサービス事業所への感謝が大きいだろう。
もっともケアプランというマスタープランが無いと、各サービス事業所も動きにくいと思う。つまりケアプランというのは一応の必要性は感じているが、「無くてもいいんじゃない?」とか「誰が作ってもいいんじゃない?」と言われてしまうようなものなのかもしれない。
(2)セルフプラン
そもそもケアプランというのは実は誰でも作ることが出来る。理想としては自分のケアプランを自分で作る事により、自分の目指すべき方向性を示し、そこでサービスを使う事によってどのくらいのコストがかかっているかなどを把握する事は大事であろう。
それでもこの「セルフプラン」というもの。ケアマネが日常的に行っているレベルのスキルを求められる。ただでさえ介護というのは非日常的なもので、書類の作成・提出というのは我々ケアマネから見れば簡単なものでも利用者本人や家族から見れば難しい。
個人的な意見とすれば、難しいものは人に任す方が良いと思う。例えば私は会社の決算を自分で作っていたが、最近は税理士にお願いする事にした。税金対策やら何やらを自分で考え、悩むのであれば、人に任せた方が良い。しかも素人が考える事は対して効果的でない。つまり合理的に考えれば考えるほど、プロを活用する方が良いという事になる。
しかしそこにはコストがかかる。そのコストを払ってまでプロに頼む価値があるのかという事で、ケアマネはそこに直面する事になったのが「ケアプラン有料化」問題であろう。
(3)そもそも介護は本人の問題
セルフプランへの誘導は、ケアプラン有料化に対する一つの答えだろうと思う。利用者や家族が介護というものに向き合うのに、ケアマネージャーという役割がどれだけ必要なものか、お金を払ってでもお願いすべき価値があるのかという事を問われているのだろうとも思う。
だから一回、セルフプランでやってみれば良いと思う。
それで出来るのであればそれで良いし、そもそも介護になるという事は行動一つが大変になる。書類の提出や担当者会議の開催などの仕事を調整する事すら本来は難しいはずだ。
とするならば、そもそもセルフプランというのは非現実的なもので、「ケアマネに頼んでも良いけど、自分でも出来ますよ」という程度のモノとして存在するのかもしれない。
そもそも「どのように介護してもらいたい」などは本人が考えることで、専門職であるケアマネが聞き取って、何とか文章化する話ではないというのが本当なのだろうけど。
