ローカルルールは恐ろしい | ケアマネ時々卓球、時々その他

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仕事は介護、プライベートでは卓球を中心に、その他もろもろ思いつくままに書いてみます。テキトーな独り言です。

 

(1)意見するのは良いけれど

コメントに「法令を学びましょう」というのがあり、「こういう保険者がいたら訴えに値する」と言う。

 

おそらくコイツは裁判を起こしたことも無い、現実を知らない奴だな。そういう奴に限って説教するというこの業界によくいる上からの奴。

 

サービス事業所を委縮させる「ローカルルール」。つまり行政と戦う覇気や方法を知らないと、結局痛い目に合うのはサービス事業所なのだ。これについては別に経験しないに越したことは無いけど、こういうことはありうるという事は事実として知っておいた方が良い。

 

それと保険者が間違っているというコメントもあるが、それを認める保険者ばかりではない事は理解しておくべきだ。次にとんでもないローカルルールで自己破産に追い込まれた事例を紹介する。

 

(2)ローカルルールで自己破産した例

もう15年くらいまでだったか、隣の区の訪問介護事業所の社長から相談があった。

透析週3回のケースで、ケアマネからくる提供表は送りで「身体1」、迎えで「身体1」となっていたので、その通りに請求をしていた。今の単位で言えば身体1は244単位なので、一日488単位になる。しかし行政からの運営指導では「身体2」で請求するように指導があったという事だった。身体2は今の単位で387単位。一日にすると101単位過請求したという事になる。それを週3回で、数年にわたり返金請求が来た。その額は数百万円に上る。

 

私の事業所でも透析の送り迎えは「身体1」×2で請求していたので、その通り助言した。その事業所は厚生労働省、東京都にも確認したが、いずれも「身体1」×2回で正しいと言う。実際にその区の担当者に言って貰ったそうだが、区の担当者が譲らない。その「身体2」の根拠は遠くの県の例を出してきた。

 

これこそ問題にすべきだろう。このコメントした人に言わせればそれこそ訴えてやる!となるのだろうが、結局事業所で折れて数百万円の返金をし、最終的には自己破産に追い込まれた。

 

実はこういう事例は表に出ないだけで沢山あるという。

 

そして公務員の「無謬性」(間違わない事)を盾に、行政訴訟というのは中々難しいものだ。

 

それに裁判をするというのは相当の労力がいる。心理的プレッシャーは大きい。そういう中で通常業務を行えるかと言えばそれ自体が困難だろう。

 

そういう事を知らずに好き勝手言うのは自由だが、私から見れば滑稽に映る。

 

(3)サービス事業所はファイティングポーズすら取れない

ローカルルールというのはかくも恐ろしい。国、県。市区町村がじゃんけんで一斉にグーチョキパーを出して来られたら絶対に勝ちようがない。

 

自治体の中では集団指導の冒頭で返戻した金額を誇らしげに言う所もある。そういう所で安心して事業を行う事などできるだろうか、という事である。

 

それに介護サービス事業所というのは零細ばかりで、顧問弁護士を雇うほどの余裕は無い。行政にすれば訴えられることなく、ローカルルールで好き勝手に返戻させられるのだから、これほどおいしい仕事は無いだろう。おそらく指摘して返戻させた金額はその公務員の査定に入るのだろうとも思う。

 

つまり事業所は最初から勝ち目がないのだ。ファイティングポーズすら取れないのに、どうやって戦うというのだろうか。

 

事業所の支援というのはこうした法的なものも必要なのだけど、それを語る人を見たことが無い。