所詮、ケアプランなんか | ケアマネ時々卓球、時々その他

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仕事は介護、プライベートでは卓球を中心に、その他もろもろ思いつくままに書いてみます。テキトーな独り言です。

 

(1)「ケアプラン点検」の実態

自治体によって呼び方は異なるが「ケアプラン点検」「ケアプランチェック」というのがある。建前としてはケアマネがを持って行き、ファシリテーターがあれこれいじくりまわして「気付き」を促すというものだ。

 

以前、一緒にいたケアマネがそれで行ったが、まあ、ひどいものだった。

 

ファシリテーターは一見、事業所の味方をするような素振りを見せるのだが、時間がたつにつれ本性が現れる。挙句の果てには「もっとできると思うんですけどね」という事まで平気で言う。しかし最後の感想を言う場面では「気付きがありました」みたいなことを言わないと収まらない雰囲気になる。そのチェックに参加した事業所は帰りは全員俯いて帰っていった。

 

区役所にも「良かった」という感想しか寄せられないという。それはそうだろう。反抗的な態度を取れば目を付けられる。ケアマネ連絡会などに参加していれば尚更だろう。私も地元の地域包括の研修で生意気な発言をしたとされて干されたことがある。つまり生き残っていくためにはそういうストレスに耐えなければならないというのがケアマネなのだ。

 

(2)特に困ってはいないからこそ

先々月だったか役所から「ケアプラン点検」に来ませんか?という話があった。去年も一人ケアマネの所を中心に声掛けしていると言われたが断った経緯があり、今回も断った。役所に言わせれば断るのは私位だそうで、他の所からの感想はすこぶる良いという事だった。

 

当たり前である。指導権限のある役所に楯突こうとするなんて、普通の事業所ではありえない。そういう話を断れば「何かあるのでは」と運営指導が入る可能性だってある。事実、弊社にはこの5年で2回指導に入った。本来なら「1回以上」とあるから2回でも不思議は無いが、1回の所があるだろうから、やはり事業所にとってはプレッシャーにもなるし、できれば来てもらいたくない。

 

しかし私は一人で事業を行っているし、来年には辞めるつもりだから、言いたいことは言わせてもらっている。

 

そもそもこの「ケアプラン点検」は事業所が困っているケースに対してアドバイスを求めるというものだが、単純な話それであれば困っていることは無い。

 

また「適切なケアマネジメント手法」と言うが、今までの手法で困っている利用者や家族がいれば聞く耳を持つが、別にクレームが入っているわけでは無いのに、やり方を変える必要もない。

 

どこのサービス事業所も、書式や各内容はテンプレ化している。それで良いと思う。たくさん並べればどれも同じになるが、利用者一人一人には個別の話になるからだ。

 

要はケアプランなんて言うものは、その程度のもの、という事だ。

 

この記事のコメントにもある通り、実際のケアマネの声は完全にしらけている。

 

ケアマネは利用者や家族の相談を受けるうちに、悩みを共有し、何が最適かは日々試行錯誤している。おそらくAIでケアプランを作成するようになっても、そういう文字以外の事で微調整するという事はあるし、「裏ケアプラン」というものも存在するだろう。

 

ついでに言えば、本当に困っているプランであればこそ持って行かない。法的に信頼できる役所や地域包括に指導を仰ぐと思う。こういう所では色々いじくるだけで何の責任も持たないからだ。

 

(3)ケアマネの負担も軽減すべき

先日も利用者の子供から相談があり、時間を取って方向を確認した。利用者(男性)は混合認知症で、同居の奥様に向かって刃物を振り上げた事もある人だ。その症状は今は収まっており、奥様に対しても今は穏やかであるが、徐々にADLが低下、奥様の負担も大きくなっている。

しかし親戚のしがらみなどの手前、奥様からは介護を放棄したいとは言えない。だから子供たちが決めたこととして奥様の介護負担を軽減してあげたい、というのが相談内容だ。

 

私からは施設入所は条件さえ合えば出来ない事ではないという事を説明。しかし奥様との同居、在宅生活を希望する利用者と、耐えられなくなって来ているという事を言い出せない奥様との関係をどうバランスを取るか、という事が課題となる。

 

方法としては今言っている半日型のデイサービスから一日型のデイサービスに変更、同時にショートステイを入れて介護負担を軽減するというのがスムーズだろう。

 

しかし問題はそれを本人がどう受け入れるか、ということである。特にショートステイを入れる大義名分にはうそをつかなくてはならないかもしれない。

 

「ケアプラン点検」でそういう事例を出しても、おそらくクリティカルな解答は得られないだろうと思う。

 

だから強いて行うとすれば、地域包括の職員を巻き込んで、責任を分割するという事になるだろうと思う。

 

つまりケアマネが仕事でプレッシャーを感じる「責任」の所在を分担することによって、ケアマネの負担も減らすという事が必要なのだと思う。

 

「ケアプラン点検」の場はあくまでも適切に介護保険を利用できているかを見るもので、本来ケアマネが苦しんでいるものを軽減するものでは無い。

 

だから無理やり行政権限で呼び出すというのであれば、ダミーのプランを持って行きますと答えてやった。

 

ハッキリ言って、ケアプランなんてそんなものだし、どんなに熱心に関わっても、結果としてうまく行かないこともある。それを重箱の隅をつつくように指摘するような場はいらない。

 

それがケアマネを傷つけ、やる気をなくす理由の一つになっていることを行政は知らないのだ。