介護の限界集落は、全国で5分の1を占める? | ケアマネ時々卓球、時々その他

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仕事は介護、プライベートでは卓球を中心に、その他もろもろ思いつくままに書いてみます。テキトーな独り言です。

 

 

(1)介護の限界集落は

私は東京で事業を行っているので、地方の状況というのはリアルに実感したことは無い。だから記事の「要介護1以上の高齢者の訪問介護を手がける都道府県指定の事業所が、地域に1つもないという自治体が、昨年度、全国で109の町村にのぼったことがわかりました。
また、事業所が1つしかないという自治体は全国で268市町村にのぼり、あわせると377市町村と、全市区町村の5分の1以上となります。
こうした自治体には、ほかの地域の事業所がヘルパーを送るなどして、訪問介護サービスを維持していますが、中には訪問の回数を減らしたり曜日を限定したりするほか、サービスの依頼を断らざるをえないケースも一部で出てきています。」

という何とも他人事な記事は理解できない。

 

都心部で介護業務を行っていれば、基本的に自転車での移動なので交通費はかからない。しかし地方になって車での移動となればガソリン代等、都心部では必要のない費用まで掛かってしまう。

 

特に地方部では都市部よりも介護報酬が安い。

働く人もいない。

となれば、誰も介護の仕事しないというのはやりたくないという理由だけでなく、そもそも人がいないという事にもなる。

 

記事のように介護の限界集落は全国5分の1の市町に上る。

介護の業界というのは都市部でも人気が無く、倒産件数も年々増えている。しかし地方ではそもそも介護事業所が無い。「弱いものの中のさらに弱いもの」なのだ。

 

(2)行政は知らんぷり。高齢者がどうなっても関係ない

更に記事には「村役場の担当者は、本来は介護保険制度の中で完結すべき問題であり、自治体がこうした対策を取らざるをえないこと自体が、制度の限界を表しているのではないかと、指摘しています。
産山村健康福祉課の井順士課長は、「自治体がどうにかテコ入れしてサービスを維持するのは本来の介護保険制度の趣旨とは異なる。今の状況踏まえて制度のあり方をもう一度、見直す時期ではないか」と話しています。」とある。

 

何を言っているんだ、という話である。

住民が困っているのである。おそらくこのようにヘルパーに期待できない地域では、隣近所の支えあいによって何とか成り立っているのだろう。

 

今は隣の市である阿蘇市の事業所が来ているようだが、「阿蘇市の「ヘルパーステーションつくし」で管理者を務める加藤こず恵さんは、「産山村の人たちも介護保険料を負担しているので、何とか平等にサービスを受けられるようにしてあげたい。心配もあるが、できる範囲で訪問を続けていきたい」と話しています。」との事である。

 

民間事業所の方がよほど住民の事を考えているではないか。

 

さらに記事に議員が登場しないのも、介護というのが自分が困らなければ、住民がいくら困っていても関係ないという、今の政治状況を如実に表していると思う。

 

(3)曖昧な概念だからこそ

介護現場では危機に瀕していると危機感を持っているが、こと政治の場面ではそれに対する真剣さは一切感じられない。

それは選挙の時にも介護がテーマにならないことからも、多くのニーズは介護ではなく、他の事なんだという事なんだと思う。

 

つまり騒いでいるのは介護側だけであり、他の業界も大変なんだ、むしろ他の業界の危機の方が生活に直結するんだと言わんばかりである。

 

以前、高齢化が問題になった時は、少子化、DINKS、都市への人口流出、核家族化、社会的入院、などのワードが躍った。来るべき超高齢社会に備えて、介護の環境整備が迫られた、というのが介護保険の始まりである。

 

そして今は介護の過疎化、限界集落化といった、地方から介護制度が崩壊を始めている。

それを地域で何とか綱渡りの状態で頑張っているという事だろう。

 

おそらく政治は本気にならない。

 

強いて言うなら、こういう限界集落で高齢者の事故が多発するとか、救急対応が出来なくて処置が出来なかったとか、そういう事が頻発して、反省しなけばだめだろう。いや、それでもダメかもしれない。それは介護というより人生というのはそんなものだという観念的なものの考え方もあるからだ。

 

それは施設に入った方が良いという人も不便でも家にいたいという人と変わらない。

 

そういう意味では、記事にあるように保険料を払ってもサービス無しという言葉遊びだけでなく、権利を主張する訴訟が起こったりしないとダメだろうと思う。もしくは住民独自で何とかするとか、業界団体が主導でサービスを作るとか。

 

という事になると、おそらく変わらないんだろうと思う。地方創生というのは、都心の我々が思う以上に大変なことなのだろう。