(1)涙ぐましいアピールをする介護施設
このブログでもたびたび取り上げる福祉就職フェア。今回は広島で行われたものを取り上げる。
広島県では社会福祉協議会が毎年この就職フェアを行って30年たつという。今回も県内100事業所が集まって行われたという。しかし労働局によると有効求人数が2156人に対し求職者は750人と、少なくとも1400人分の介護職員が足りないというのが前提である。
記事内で施設のアピールの看板があるが、何と涙ぐましいものだろうか。というよりアピールする点はそれくらいしかないのかと思うとがっかりする。
やはり世間からは介護職は見放されているというのは現実として受け止めなくてはならない。
(2)コメントが物語る。
この記事のコメントを見てほしい。おそらく業界内外の方がコメントされているが、どれもこれも「介護職は良い!」というものでは無い。
介護の仕事で思いつく嫌な所だが、例えば労働条件で日曜祝日もないとか、夜勤があるとかだが、それだけ考えればそんな仕事は他の業界でもある。給料が安いといっても、ほかにも安い仕事はいくらでもあるわけで、どちらも決定的なものでは無い。体力がいるというのも同様だろう。
ただ、介護の仕事は今挙げた嫌な所を全て兼ね備えているという事で、一つだったら我慢できるものを、という事ではなく全部我慢しなくてはならない。
更にほかの業種になくて介護にあるものと言えば、面倒な高齢者の世話をしなければならないという事。
例えば認知症などで暴れている高齢者の接し方だって、普通の人はビビる。それは現場の人だって同じだ。わけもなく暴言を吐かれたり、場合によっては殴られたりで、そういうハラスメントをも耐えなければならない、受け入れなければならないとなれば、こんな仕事は避けるというのが当然だろうと思う。
(3)今までは善意に支えられてきた。
高齢者にも人権があり、高齢者の嫌がることは人権侵害や虐待疑われ、介護職員はその矢面に立たされる、というのは我々も良く研修で聞く話だ。
それに事故が起こった場合。最近は訴訟で負けて賠償金を払わされる施設の記事が目に付く。つまりこれだけ悪い労働条件で、ハラスメントなどで嫌な思いをして、さらに賠償金を支払わされる仕事なんて、やりたいと思う方が不思議なのだ。
今まで介護職員は善意で頑張ってきたのだ。それもいつまでもつか、という事だ。
国としては出来るだけ面倒なことは民間に押し付け、自分は「指導する側」でいたいだろう。文句は言いつつも働いてくれる人の善意を利用して、制度を維持したいのだろうと思う。
そもそもそこに言及しない限り未来はない、と思うのが現場の声だと思う。
新人議員に10万円くばるくらいなら、介護職員に1万円でも配ってねぎらってくれと思う。