(1)カスタマーハラスメントは日常?
私は在宅介護の会社を経営して20年以上たつ。世間でいうカスハラというのがどのくらいあったのかと考えてみるが、多少、言葉は荒い人はいたと思うが、あからさまな迷惑行為があったり土下座を強要されたりといったことはない。
もしかしたらそれに類するものがあったかもしれないが、記憶にもないがおそらく謝罪自体断っただろうし、それでも突っかかってくる人は向こうから担当を変えるように言わせてきた。
地域包括にすれば「あなたが信頼関係を築けなかった」と私のせいにしてくる人もいたが、そんなことにいちいち構う必要もない。
ハッキリ言えばこちらが気持ちよく担当できる利用者だけで十分だ。
(2)やられたらやり返せ
先日もとある利用者と話した事例を挙げる。
その利用者は男性で自他ともに認める癇癪持ち。何か気に入らないことがあるとすぐものに当たるし怒鳴る。
やはり分からないことがあると癇癪起こすのはしょうがないでしょう?と言うのだ。
要するに癇癪起こして人に当たるというのは、一つはやり返してこないという安心感があるのだろう。
それに癇癪を起すというのは自分に解決能力がありませんと言っているようなものだ。更に言えば自分は弱者なんだから、お前らは言うことを聞け!という弱者ビジネスみたいなものだ。それにどんな理由であれ、相手を怖がらせたり困らせたりするのが楽しいですか?という事である、という事をコンコンと話した。
つまりは、である。
やられたらやり返せ!という事なのだ。
その為にはこちらも知識と経験が必要だ。
更に言えばやっつけるという気持ちではない。いうべきことは言うという、介護業界でも言われている「毅然とした態度」という事だろうと思う。
それでダメならしょうがない。
しかしこちらが言ったことで次の担当はやりやすくなるかもしれないので、自分との関係だけが全てではないという事は強調すべきことだろうと思う。
(3)職員を守る、とは
人間強くなくては生きていけない、しかし優しくなければ生きていく価値はない、と言う。
私ははっきり言えば弱い人間だと思う。それでも介護の仕事でここまでできたという事はそういう困難な場面にも立ち向かえたからだと思う。
それは経営者というポジションがそうさせたのかもしれないし、一人ケアマネという、全責任を負う立場がそうさせた野かもしれない。
だから周りから見れば強い人間だと思われるかもしれない。しかし実態はやらなければならないからやったに過ぎない。つまり経験、実績が自分をそう見せているのだと思う。
そう思えば、職員教育で一番大事なのは「職員に強くなってもらう事」なのだろうと思う。
強いとは何か。それは自分で解決する能力を持つことであり、困難に立ち向かむ勇気を持つことだ。
誰だって嫌なことはやりたくない。困難に立ち向かわなければならないという事は理屈で知っていても逃げたくなるというのは本能だ。弱い人はそれで良い。大昔の時代だったらやみくもに戦っても死ぬだけだからだ。それなら逃げても良い。生き恥晒してと揶揄されても生き残ったもの勝ちというのは間違いではない。
しかしその困難に立ち向かうだけの能力、経験があれば立ち向かえるのだ。
負けて良いわけはない。勝負は勝たなければいけないのだ。
おそらく介護というのを勝負と位置付けている人は少ないだろう。しかし理不尽なことで自分や職員が傷つけられているというのであれば、それを全力で守るのは責務だ。さらに職員を強くするというのは教育の根幹だと思う。
やられたらやり返せ。この位でちょうど良い。