(1)介護人材不足→介護殺人の可能性
介護人材の不足は、各地で介護サービスを受けられない地区が増加という形で表れてきた。そうでなくても「限界集落」予備軍は着々と数を増やしているという。
これは地方に限らず、都市部でもその傾向は表れており、「働く人がいないから事業を拡大できない」という、当たり前の現象なのである。
介護サービスが提供できないと家族に負担を押し付けるしかない。そうすると仕事をやめて介護をするしかない、いわゆる「介護離職」は避けられない。
身内の介護では給料は出ないので、親の年金で暮らすことになる。
介護というのは子育てと違い、いつ終わるかも分からない戦いである。親が生きているときは細々ながら年金はあるだろうが、親が死んだら収入は断たれる。親の介護をする年齢というのはそれなりの年齢だから再就職だって難しい。早くいなくなってもらわないと、自分のことも危うい。ましてや子供がいる場合などなおさらだ。そうなれば「介護殺人」だって起きないとも限らない。
(2)利用者をほっぽりなげて
在宅の訪問介護で倒産というのはそれなりに兆候があるというか、募集しても人が集まらないから徐々に規模を縮小して、最後はどうにも立ち行かなくなってやめるという事が多いと思う。
更には当社にもよく来るが、M&Aで買いたいところに譲渡するというもの。
ハッキリ言えば、値が付く時に売ってしまうのが賢いのかもしれない。
しかし施設で大量離職者が出て事業を廃止する場合、記事のように利用者をほっぽり出してやめてしまうという事も十分ありうる。
勿論、経営者にそんなつもりはなかっただろうし、事業廃止が近づいてきているときに何とか打開策は取っていたと思う。場合によっては役所にも相談していただろう。そもそも施設開設の時に責任の所在も明らかにしていると思う。しかし事ここに至ってはどうにもならなかったという事だ。
経営の甘さを指摘しているが、それは甘んじて受け入れるとしてもだからと言って利用者がほっぽり投げ出された事実は変わらない。あれこれ言うのは勝手だが、結果として利用者である高齢者に多大な迷惑をかけ、それに対して経営者は無力だという事だ。
普通の会社なら、経営者は株の分だけ責任を持つ。つまり支払い能力はそこまでだし、大概の場合はお金の支払いでカタが付く。しかし介護の場合はそうもいかない。預かっている利用者の行き先を決めなければならない。
倒産後の残務整理という事だが、介護の場合はほかの業種よりもパワーもテクニックを必要だ。
(3)営利目的にしないのであれば
介護とか福祉というものは営利で行えるものと非営利で行わなければならないものがある。
いわゆる高級有料老人ホームなどは営利で良い。基本の介護報酬の他に自費分やホテルコストを取るという事であれば費用もそれなりになる。
しかし大部分の人にはそれは当てはまらない。そこは行政が責任をもってあたらなければならないと思う。
記事のような介護サービスが提供できない地域は公務員がヘルパーとして働くべきだ。
そして、介護人材にその土地に来てもらえるように働きかけることだ。
面倒くさいことは耳障りの良いことを言って、自分たちは偉そうに「指導する」立場を維持することばかり考えた結果がこれだという考えにならないのかが不思議だ。
まあ、公務員は無謬性なのだから間違いはないんだろう。
