(1)障害福祉サービスと介護保険は似て非なるもの
私は介護保険の業務しか行っていなかったが、訪問介護をしていた時は障害福祉サービスも数件行っていた。もう10年以上前の話だが、報酬金額は若干低いものの経営にダメージを与えるものではない。
しかも障害福祉サービスのヘルパーは介護保険と違い「個人の趣向」に関わることも出来る。人によってはコンサートの付き添いにも行くし、通勤の介助も行う事もあった。
さらに言えば地方の方が旅行で来る際の付き添いも出来る。そういう意味ではフレキシブルな使い方ができるサービスなのだ。
(2)福祉作業所でボランティアをしていたことがある。
私は大学の時に福祉作業所でボランティアをしていたことがある。そこではホテルなどで使う割り箸を袋に詰める仕事である。ほかに見学に行ったところでは、弁当販売、お菓子販売、印刷物作成、老人ホームの中にあるカフェの運営など多岐にわたる。
もともと障害福祉サービスを行う事業所は家族会が立ち上げた事業所も少なくない。経営基盤がそもそも脆弱なのだ。さらに障害福祉サービスから派生させたサイドビジネスの展開ができるわけでもない。あったとしても講演会位なものだろう。そうするとその収入もたかが知れている。
記事に「続けられないかも…という相談も」という下りがあるが、普通に考えれば甘えるんじゃない!と一括されるところだろうが、障害福祉サービスではそういうものでもない。
大企業が障碍者雇用だったり、社会へのアピールの為に行う作業所で経営ノウハウがあるのであれば別だろうが、多くの障害福祉サービスを行う事業所は脆弱な経営基盤の上に成り立っている。
(3)報酬改定ではアップを謳っていた
最近の福祉のトレンドとして「自立」があげられる。
今まで福祉と言えば施設収容がセオリーだったと思う。やはり障害者や高齢者を面倒みるということは大変なことだ。当然、自分では面倒を見ることはできないから、施設にお願いすることになる。しかし最近では在宅サービスの拡大とともに、人の手を借りて出来ることが広がれば在宅生活は可能になり、ひいては自立した生活となるというのが最近のトレンドだ。
https://www.mhlw.go.jp/content/001216035.pdf
2024年の報酬改定では1.12%引き上げということであるにもかかわらず、基本報酬の算定方法が変わったことにより7割の事業所が減収になったという。
これは障碍者の数が減少しているのか、それとも福祉切り捨てなのか。
公式には報酬アップをうたいながら、実際に事業所に支払う金額は減る、結果的にお金を使わないようにするというのはテクニックだなと思う。
(4)腹をくくる覚悟があるか
よく「声を上げる」というが、介護も同じで、事業所の側が「困っている」と声を上げたところでどうなるものでもないということは今までの経緯から考えて、もう当たり前だと腹をくくるべきだ。
ストライキとか辞めてやるという声もあるが、行政からすればやれるものならやってみろということだろうと思う。
利用者に不自由させておきながら、偉そうに何言っているんだと、場合によっては処分の対象になりかねない。
職員の側も利用者に不自由な思いをさせるのは忍びない。だから自分のことは二の次にしてしまう。そういう優しさに付け込めば、介護職員の待遇改善なんてどうでも良いと思っていると思う。
その上でこれから介護の側がどういう行動をとるかということだ。