(1)多分、これは嘘だろう
「ケアプランは自分で作りたい」という人が約半数というデータがあるそうだ。これは積極的に自分で作りたいという人と、専門家に相談して作りたいという人を合算した数字という。
でもそもそもという話をすれば、ケアプランなんて必要ないと思っている利用者や家族は多いんじゃないかなと思う。
実際にケアマネをしている立場からしてみても、第一表の本人や家族の意向みたいなものや総合的な援助方針というのはその通りなんだろうけど、第二表の長期目標や短期目標などは「ああ、そうですか」程度の反応だろうと思う。むしろ、サービス事業所が入ってくれるだけでよいという印象がはるかに強い。
従って半数がケアプランを自分で作りたいというのは、やれるものならどうぞやってくださいというもので、実際にサービスを受けている人はあまり関係ないと思う。
(2)ケアプランの自己作成は今でもできる
別に特別な話でもないが、ケアプランの自己作成というのは今でも可能である。だから自分で作りたいという人がいるならどうぞやってくださいと思う。
参考までに東京都北区のマニュアルをのせておく
https://www.city.kita.tokyo.jp/kaigo/kurashi/hoken/kaigo/hoken/documents/jikosakusei20220324.pdf
要はケアマネが行っていることを本人や家族が行うということである。詳しい手順はマニュアルを見てもらえばわかるが、毎月利用票を役所に持って行ってハンコをもらうという作業があったり、サービス事業所を探したりで、それは利用者や家族でもやってやれないことはない。しかしそういうことに明るい人なら良いけど、そうでない場合は何をやってよいかわからないからケアマネに頼むんだろうと思う。
(3)利用者負担が出てきたら
今話題になっていることといえば、居宅介護支援の自己負担導入議論である。居宅介護支援は今は10割が保険から出る仕組みに担っている。それを自己負担を導入させようという議論である。
しかし居宅介護支援、ケアマネというのは制度の番人でもある。不必要なところにサービスをどっさり入れるということは基本的には無い。勿論、自社でサービス事業所があればそういう輩もいるかもしれないし、そもそも営利法人に非営利なことをやらせていること自体が矛盾である。
自己作成になれば、例えば訪問介護などどっさり入れて、利用者のものだけでないサービスも結果として入れてしまうということも出てくるだろう。
しかし問題はケアマネがその自己負担を払うに値する仕事をするかということである。
中にはモニタリングに行かないとか、必要なときに連絡が取れないというケアマネもたくさんいる。要するに信用できないケアマネにお金を払うということを良しとしない利用者や家族もいるはずだ。
だから最初の一回だけケアマネにやらせて、後の利用表などの扱いは家族が行うということも今後はありうる。
おそらく自己負担を嫌う自己作成希望者のための仕組みも出てくるんだろうと思う。
個人的にはそれでよいと思う。
私もケアマネの交代で受け持った利用者は沢山いる。話を聞いてみれば、どちらが正しいとも言い切れないが、ケアマネが信用に値しなかったというのはその通りなのだろう。
自己作成の話はケアマネ不要論と同列で議論すべきなのだと思う。だからどんどんやれば良い。これに反対するケアマネは、自分が信用されないことへの危機感を持つべきなのだと思う。