説得、論破は逆効果 | ケアマネ時々卓球、時々その他

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仕事は介護、プライベートでは卓球を中心に、その他もろもろ思いつくままに書いてみます。テキトーな独り言です。

 

 

(1)介護職のイメージ

一般の人はどうして介護の仕事をしないのだろうか?

 

・きつい・汚い・危険の3Kだけでなく

・給料安い・休暇が取れないも加わると、5Kとも言われる仕事である。

 

以前は介護職はどうですか?と聞くと「いや~興味はあるけど、自分にはキツイっす。」位のものであったが、最近ではその興味すらない。そもそも就職の選択肢にすら入っていない。

介護の仕事をするくらいなら、何でも良いからアルバイトをして食いつなぐという選択肢の方が現実的とも言える。

 

ではなぜ、そのようなことになったのか。

 

(2)介護職は避けたほうが良いと思う理由

①介護職が専門的過ぎ

そもそもだが、介護職に入るためのハードルは実は高い。施設側が求めるのは、出来れば介護福祉士を持った専門学校卒で、次いで初任者研修を受けた人。出来ればそのくらいの準備はして欲しい所。最悪、無資格でも「人物重視」で採用する場合もあるが、訪問介護は最低でも初任者研修を受講した人がやらないと介護報酬の対象にもならなので、この時点で脱落。そもそも何万円もする研修を受けた所で「安い給料」しかもらえないのであれば、他の仕事はいくらでもある。しかも施設は不規則勤務。休みたい時に休ませてもらえない。

 

そもそも、3Kだ5Kだ行っている時点で「ブラック企業」の烙印を押されてしまっているのだ。

 

その上、介護職員に求めるのはよく分からない「質」。そんな業界に誰が行くかという事である。

 

②守られない介護職

このブログでもいくつか取り上げたが、介護職員の利用者に対する暴力の話。更にはご縁で施設が遺族に対して多額の賠償金を払う羽目になった事件など、介護職は危険がいっぱい。

 

そもそも何でもない人間が、高齢者に暴力をふるうという事をもっと真剣に考えるべきだ。

私の利用者でも、とにかく面倒くさい人はいる。何でもかんでも文句をつけて来る人がいる。そういうのが日常になると、いくら温厚な人でもムカッと来るのは当たり前だ。

 

勿論、暴力は肯定されるべきではないが、「利用者は100%正しい、介護職は100%悪い」といった風潮は、我々が受講する「高齢者虐待研修」でも、何となくそこに落としどころをもっていかないと収まらない雰囲気がある。

 

そして誤嚥の問題。

これも遺族は「これをきっかけに良い施設になってもらいたい」等と耳障りの良いことを言うが、高齢者の誤嚥は当たり前に起こるし、そんなに人員配置をできない。そうした危険な状態の中で介護は行われている。

ハッキリ言えば、そんな耳障りの良いことを言うなら、賠償金は放棄すれば良い。賠償金を受け取るから、金目当てと思ってしまうのだ。

 

このように、介護の仕事はやるべきではないという事は分かると思う。何があるか、いつ被告になるか、いわれのない暴言を言われ続けるのか、それこそ我慢の限界だという事だ。

 

(3)それでも介護職は必要

先日、台湾に旅行に行った際に車いすに乗っている高齢者がお寺にお参りに来ている姿を数人見た。その車いすを押している人がヘルパーなのか、メイドなのか、家族なのかは分からないが、台湾の旅行系YOU TUBEを見ていると、車いすに乗った高齢者が新幹線の列に並んでいる姿も散見される。

やはり日本よりも家族における若い人と高齢者の距離は近いのかもしれない。

台湾では日本以上の少子化や都市への人口流出、地価高騰が進んでいると聞くが、戦後の激動の時代を生き抜いてきた高齢者の記憶は廃れていないのだろう。そして若者には徴兵もある。

 

民主主義を勝ち取った高齢者の誇り、今台湾を守る若者の意識は一致する所がある。

 

そして日本で言う所の技能実習生の制度で、東南アジアから台湾に来る人も多い。場合によっては差別の対象にもなるようだが、それでも部屋を与えられ、中国語や中華料理を習い、仕事して根付いているというスタイルは、日本よりも進んでいると思った。

 

やはり、日本のように若者と高齢者と対立するような風潮では、いくら説得、論破しても介護職に就こうという気にはならない。だって対立している高齢者のお世話なんて誰がやるかという事になるからだ。

 

やはり高齢者が今の日本にどれだけ貢献し、その恩返しを国が率先して行うという姿勢を示さない限り、この問題は解決しないだろう。