(1)健康状態は人それぞれ
利用者で野菜を全く食べない人がいた。
その人は食事も揚げ物が好きで、なおかつソースをたっぷりかける。そしてとんかつ弁当などでついてくる野菜は一切食べないという人がいた。運動はしない。そんな人でも80代半ばまで普通に生きていた。その人を見ると、健康に気を付けるという事は大事なことだけど、人の寿命とかなんとかはそういうものを超越したものなんだなと思った。
(2)介護予防が目指したもの
平成18年だったか、今まで「要支援」と認定された人が「要支援1・2」に分かれ、つまりは給付制限がかかり、契約者も地域包括支援センターになり、居宅介護支援事業所は地域包括から委託を受けるという形になった。
ケアプランも「介護予防サービス・支援計画表」となり、その第2表は事細かく記載する。場合によっては虫メガネを使わないと見れないくらいに詳細な記入が求められ、更にはケアマネの報酬も減らされた。
そういう所は問題として問題だが、そこで目指したものは「運動機能向上・口腔機能向上・栄養改善」という所だった。
確かに一人暮らしの高齢者、特に男性はこの3つは出来ていない事が多い。
しかし介護サービスとして運動機能向上を目指す、いわゆるリハビリテーションを行う所はあっても、口腔機能向上は特に専門職が指導するとなれば歯科医でそこと連携しているから、という事でもないし、栄養改善となると、では栄養士がどれだけの事が出来るのかという事でもあり、当時は絵に描いた餅のようだったことを覚えている。
それで今を見てみると、この3つが出来ている人というのは確かに状態を保っている人が多いだろう。しかし老化などの理由で、そもそも動く気にもなれないとか、食欲がなく食べる気すらないという人もいる。
介護状態の期間を短くし、「ピン・シャン・コロリ」を目指すのは当然と言えば当然だが、これらは気力を伴う事もある。やはり大事なのは生きる気力という事なのかなと思う。
(3)介護を受ける状態になっても安心な時代に
介護保険という制度があるということは、介護を受ける状態になっても安心して生きて行けるためのものであると思う。
勿論、個人としては自分の意思があるうちは介護を受けないようにしたいと思う。その為に努力をするという事だが、出来れば自然な形で生活しながら状態を保ちたいと思う。
しかし老化というのは、半分は気持ちの問題かもしれないが、思わないことは無い。体力だって若い人に比べれば落ちたと思う。しかし、自分なりに、それなりに保つ事で良いような気がする。病気や事故だって無いとは言えない。いつどんな場面で介護が必要になるかは分からない。
やはり記事のように「介護されない未来」を目指すことは個人としては当然だが、もし介護を受けるようになっても安心してください、というのが優しい社会だと思うのだが。