(1)売る人と買う人の関係は
介護に限らず、基本的に仕事は自分と相手(売る人と買う人)がいることで成り立っている。店と客の関係は、絶対に客の方が上というのは正しいかは分からないが、少なくとも客に物を買ってもらおうとするならば、店の方が遜らなくてはならない。逆に客の方が「売ってください」と遜るような商品を開発できれば、それに越したことは無いが、そんなことはめったに起こらない。
中にはラーメン屋でも「客は俺が選ぶんだ!」と息巻いている店主がいるようだが、それはそういうキャラの店主が良いか、そのラーメンが余程おいしいかである。それで商売が成り立つならそれで良いけど、そういう事が出来る人は一握りだろうと思う。
(2)売る人と買う人の距離感
最近、それなりの高級店なのか、女の子が料理の写真を撮りながら騒いでいて、店から注意されたのを逆切れしたという報道も見たことがある。これは店として当然の姿勢だろう。他の客の迷惑になる(と店が判断した)客には注意する。場合によっては退場させるという事をしないと、店の方も心地よい空間を維持できない。周りの客に迷惑をかけ、最終的に店の評判を落とす。やはり良い飲食店は落ち着いて美味しいものを食べられる店というのが良い。そういう前提から考えれば、例えお金を落としてくれる客であってもお断りするという事は当然なのだ。
客の方も、気持ちよくないと思えばその店に行かなければよい。そういう割り切りというか、お互いのつかず離れずの距離感でそうできる。
介護を利用する人は介護者に何を求めるだろうか。
介護を受ける側は、確かな介護技術を求めるというのもあるだろうが、おそらく同じような「心地よさ」であろうと思う。しかし、飲食店と明らかに違うのは、それが商品ではなく「人」であるという事。そうすると、先ほどの飲食店で言えば店と客の関係になる。
つまりは店の方も良いと思うものを提供するのだが、客の方がルールを乱すというか、客の驕りというか、悪気のあるなしに関わらずの行動が店の基準で行けばアウトという事になる。しかしこれを注意する事までは出来ても、断ることができにくいという事が、カスハラという結果になってしまうのだろうとも思う。
(3)流動性を求めることも
ケアプランを作っていて、一番楽なのは、最初に作ったプランをずっと継続してくれる人である。逆に頻繁に事業所を替える人や、サービスを変える人はその都度担当者会議を開催しなくてはならないとか、アセスメントを取り直さなければならないとかの手間があるので敬遠しがちだ。
しかし、どう手を尽くしても合わない人は合わない。
なので、ケアマネを含めて、事業所を替えることを厭わないという姿勢も大事だろう。そしてサービス事業所側もそういう利用者は断るという事も大事。
断るという事は、それ自体でサービス事業所に能力が無いと判断するまでは至らない。もし、一度断って、ずっと依頼が来ないのであれば、他に理由があると思ったほうが良い。
利用者も事業所が変わると、イチからという事で面倒がる人も多いが、それはそれで必要な事なのだという事を説明するべきだろう。
ハラスメント対策は、簡単に言えば馴れ合いから起こる事であれば、こうした事業所変更で対応すべきだと思うし、あちこちを断られまくる利用者がいてもおかしくない。事業所間でブラックリストのような利用者もいるだろう。
つまり、ダメな人はダメな人という事で生きていくしかないのだ。そういう突き放しも時として必要だと思うのだが。
