(1)ダメではないけれど
高齢者が車に乗って病院でもデイサービスでも行く姿というのは、記事のように拉致車に見えるというのは一つの見方なのだろう。それだけ今の施設が「姥捨て山」との揶揄から脱していない証拠だと思う。
果たしてそんなに悪いイメージなのか?
残念ながらそうと言わざるを得ない。
デイサービスに通う目的というのは、利用者本人からすれば、積極的にリハビリを行いたいという明確な目的を持っている人もいれば、周りから言われて何となくという人もいる。むしろその方が多い。
家族からは、仕事で家にいない時間のお世話や、入浴設備が無いなどの理由で「通わせる」人が多い。高齢者が喜ぶから、という理由で通わせる人はあまり聞いたことが無い。
まあ、日本人ならではの「何となく」で成り立っているデイサービスというのも、有りといえば有なのだが。
(2)福祉=救済?
その考えで行くと、「家族が助かるから」デイサービスに行かせるというのは家族への救済措置とも言える。それは悪い事では無いし、むしろ困っている人をどうフォローするかという視点に立てば当たり前のことだ。
しかしこれは戦後始まった福祉政策から脱却できていない。
高齢者福祉は今まさに人それぞれの生き方に着目した支援の在り方が議論されているし、我々ケアマネもACP(アドバンスケアプラン)の研修を受ける機会が多くなった。
もう、困った人を預かるというだけではなく、その人が自分らしく生きて行けるような支援、そして介護サービスを提供するという事だが、おそらくそこまでは追いついていないというのが現状。
そして困った人を預かるという入り口の人が圧倒的に多いというのが現実だろうと思う。
特に認知症や精神の病気の方。
例え、本人に悪気はなくても、周りに与える影響は小さくない。悪い影響を与えるとなれば家族でも近寄らなくなる。
そういう人は隔離しなくては周りも許さない。
(3)私も見送った
私も自分の担当している精神病持ちの人が、住んでいるアパートの住民に対してケチをつけて、退去命令を出されて精神病院に送られたという人がいる。
私にはそういう嫌なことは無く、勿論、こちらからの助言には従わなかったが、やはりアパートを大挙して精神病院に送られるのも見るのは残念な気持ちだった。
この人は病院から出ることは無いかもしれない。
私としてはどうにもならない案件だったが、頭の中で「ドナドナ」が流れていた。
