(1)一番ウンザリな研修
介護職員の研修で一番ウンザリするのがこの虐待研修。大体どの研修でも「介護職員が悪い」という結論に至る。最低なのがグループワークをやらせて、その発表で「これはぁ~ 介護職員のぉ~ ○○虐待だと思いますぅ~」みたいな発表をさせられる奴。周りの空気もそういう風に言わないと何となく収まりがつかないような、というより自分たちが悪いと言えばいいんだろ的な、雑な研修ばかり受けさせられてきた。
この研修を終わった後の受講生のやれやれといった顔を主催者はどう見るのだろうか。
(2)高齢者側の問題もある
確かに介護職員の問題はある。
特に昨今の極端な人材不足は常識のない人も採用しなければ、事業として成り立たない。面接のドタキャンは当たり前。電話の受け答えもろくに出来ない人も多い。俗にいう「使えない奴」をどう使いこなすか、それは施設側の教育の問題だ、なんて言うけど、言っちゃ悪いがクズはクズ以外何物でもない。
よく研修などで「気付きがありました」(福祉の人はこの「気付き」が本当に大好き)なんて言うのがあるけど、響かない人には本当に響かないのだ。
とはいえ、そんな響かない人にも良い所が無いわけではない。それは気持ちの熱い職員には見えない所が見えるという所だ。まあ、それを職場でどのように生かすことができるかは何とも言えないが、今も昔も職員の質というかやる気はそうは変わっていない。
そんな中で、もう20年以上も前の話になるが、当時の老人ホームで話題になっていたのが「権利を主張する利用者が増えてきた」という事。明治生まれの方が我慢できていたことが大正、昭和生まれの人は我慢が出来ずに職員とトラブルになってしまうという事。職員側とすれば、まだ介護保険以前という事もあっただろうが、利用者を収容施設としての管理すると見る、お客さんと見るかの見解の相違というか、そういう違いというものに答えを見いだせない時代でもあった。
今、介護保険という制度の中で高齢者はどのように我々を見ているのかといえば、上手く関係を作れる人は一部だろうと思う。何をどこまで頼んでよいやら分からない人が多い。こちらとしても「何でも相談してください」というものの、実は介護保険以外のものは手が出せないものもあり、そうすると「年でも相談しろと負ったじゃないか!」となるのも当然だ。
先日、私の利用者が新しい訪問看護と契約する際に、自分の名前を書くのが面倒なのでスタンプにさせろと言っていた。
スタンプは自署にはならない。その事を丁寧に説明したつもりだが、「それなら事業所の契約書も自筆で書いてもってこい!」となってしまった。
その場は奥様が代理署名して事なきを得たが、実はトラブルというのは、そんな利用者側のくだらない理由でも起こるし、その対応如何では争いにつながってしまう。
(3)お互いの知識不足がゆえに
一般人でもそうだが、お互い気に入る気に入らないで喧嘩になることだってある。介護で報告される虐待という事は、そういう些細な事から生まれること、そして介護職員の側も優れていると思わないほうが良い。
人間、感情があり、嫌な思いをさせられたという事をハラスメントとか虐待だという言葉で片付けてしまうと、その定義にもよるが介護職員は批判にさらされる。
客商売では客のいう事は100%正しいというのが常識だろうが、介護の世界ではまだそこまで行っていないという事だと思う。だからまずは介護職員の立場にたって、介護職員が100%正しいという視点から見る機会が無いと、それは介護側員が一方的にやられるという事になるし、今の虐待に対する体制がそのようになっているという事だと思っている。
勿論、何の理由もなく手を出す介護職員がいたらそれは論外だけどね。
