(1)補助金の効果は経営者を委縮させる介護業界
介護の業界のみならず、「補助金」というのは多い。本当に必要なものも多いし、私なんかは創業する時にお金を借りて、その利子補給金などはありがたかったと思う。
しかし介護の世界となると、処遇改善加算などは条件が厳しい。職員が何人以上いて、この資格を持った人がどのくらいいて、となると、職員確保すらままならない状態だと交付の対象すらならない。それに交付の対象になっていても、職員の顔色をうかがいながらという窮屈な経営を余儀なくされるという、やりにくい経営となる。補助金をもらうためには職員に辞められたら貰えなくなって困るからだ。
それが「風通しが良い」とか「働きやすい」とか、経営者のパワハラを防止するとか言った効果につながるかもしれない。今流行りの「良い会社」といわれるものであるかもしれないが、一つ間違えると職員のわがままを全て許容する事にもなる。労使関係というのはお互いに自覚をもっていれば良いが、一つそこに負の感情が入ると、お互いに権利や義務を大上段に振りかざし軋轢を生むことにもつながる。
就職希望者が多ければ、その中でも頑張れる人がいるだろうが、人がいなければ、働かない、どうしようもない奴も使いこなさなければならないという、業務内容とは別のストレスを抱え込むことになる。
(2)補助金よりも減税、介護で言えば基本報酬アップ
今回の総選挙で国民民主党が「手取りを増やす」というキャッチコピーで大きく議席を伸ばした。
それはYOU TUBEで色々な経済関係の人の話があるように、一旦税金でお金を集めて、必要な所に配分してやるという、「財布のひも」を握っている財務省があるからだという。
当然、様々な場面で「自分の所に補助金を回して欲しい」と思うだろう。そして「お金を配ってやる」という財布のひもを握っている財務省はますます権力を持つようになる。
つまり財務省は「金を払ってやっている」という姿勢を崩したくない。「俺に楯突くやつは助けない」という所かな。
国民の税金や保険料の負担率は50%に迫ろうとしている。もう国民は疲弊して、政治不信も強い。そういう所で国民民主党の「103万円の壁を壊す」というのは一筋の光明に見えた。
先日行われた名古屋市長選挙は減税日本の広澤一郎氏が圧勝した。これは前名古屋市長の河村たかし氏が名古屋市の減税に取り組んだ実績が買われたものだ。
対抗馬は離党したとはいえ国民民主党から推薦を受けた大塚耕平氏。大塚氏は自民党・公明党・立憲民主党からも推薦を受けていた。それでもほぼゼロ打ちで広澤氏が買ったという事は、やはり減税というのは市民にとっても良い事なのだ。
介護報酬で言えば訳の分からない補助金や加算よりも本体報酬がアップした方がよっぽど良い。
(3)バーターにするな
このような政策を実現するために、となれば取引が必要だ。おそらく財務省や厚労省が以前から主張している「2割負担の利用者の拡大」「ケアマネの自己負担」「軽度者の総合事業への移行」は更に主張を増すだろう。
それがどのような意味を持つか、おそらく政治家は知らない。前回改定の時のように訪問介護の報酬を下げるという愚策が、今になってアタフタしている滑稽な姿になっているように、付け焼刃な対応をして、後になってうろたえる姿にならないようにしてもらいたいとは思う。
まあ、この3つの主張がどのような副作用を生み出すか、危惧しているのは現場の人だけで、政治家や役人は興味がないんだろうけど。