(1)介護職全体の問題として
ケアマネの人材不足が問題化されている。
一つは仕事がハードであるという事。
ケアマネ一人当たり45件担当できるが、毎月の訪問(モニタリング)に加え、プラン変更時などは全員招集しての担当者会議、デイサービスの見学の付き添いやら数々のシャドーワーク、夜は夜で研修や集まりなど、真面目にやったら体がいくつあっても足りない。
そして、今話題になっている更新研修の無意味さ。
何十時間の拘束と費用負担。
何があっても研修優先で、休んだら資格はく奪&仕事はく奪。
そんな仕事で給料は他の産業に比べて安い。
そりゃ、辞めたくもなる。
これはケアマネだけではなく、介護職全般に言えることだ。
まずは、この根本問題に目を当てないと話は進まない。
(2)「良い人」という便利屋にならないために
ケアマネをしていると利用者や家族から「良い人」とか「頼りになる」という評価をもらう事が多々ある。それは額面通りに受け取ると痛い目にあう。そういう言葉は「無料で便利に使える人」という意味であるという事を前提としなければならない。
サービス内容を提案する時にお金の話をされることもよくある。「出来るだけ安く」と言われるのだ。結論から言えば、安上りにしようと思えばできる。しかしそれは家族が全部世話をするという事だと説明すると黙ってしまう人も多い。
中には「ケアマネって何なんだ!」と怒る人もいるが、我々は介護サービスの調整役であり、便利屋ではないという説明をする。おそらく納得はしていないだろうがしょうがない。
(3)いったん離れた人は戻ってこない
おそらくケアマネという仕事を見切った人はもう戻ってこない。だから人数確保のためにも受験資格を緩和して、間口を広げるのだろう。つまり、今苦しんでいるケアマネたちの意見はこれからの為に参考にはするが、辞めるならしょうがない、という事だろうと思う。
今まで苦しんできた人は「人柱」としてこれからの人たちの土台になるだけの存在のようだ。
それにケアマネの資格取得の要件緩和というのは「質」の低下という大義名分を与えかねない。
つまり更新研修は意地でも継続するという強い意思表示なのだ。
おそらく今働いているケアマネは「違うそうじゃない」という声が溢れているだろう。それだけ役人との認識が乖離している。
しかしいったん離れた人は戻ってこないという割り切りをすれば、このような方向になるのだろうと思う。それを正直に言えば反発が起きるだろうし、そんな波風を立てるようなことはしない。しかし働いているのは現場であるから、「人柱」としての役割しか存在を認められないというのは残念に思うのである。