(1)訪問介護の経営は悪化の一路をたどる
今年度の訪問介護の過誤報酬減の影響の記事で、事業継続が難しいというものがどんどん出て来る。そりゃ、そうだろう。
ただでさえ訪問介護の経営、運営は難しい。
私が訪問介護を立ち上げたのが約20年前で、その頃から「小さく生んで大きく育てる」と言われていた。その頃は数人で始めるような小さな事業所が多かった。今でもそうだろうが常勤が一人か二人で、後は非常勤で賄うというものが多かったと思う。今でもあるのだろうが、訪問介護のヘルパーは「登録ヘルパー」として働く人が多く、事業所もそういう人たちの労働力に依存してきた経緯がある。こういう人たちは仕事がある時だけ稼働してくれるので事業所として効率が良い。しかし働く側にすれば、入院したり緊急の時、日程変更などで急に仕事が無くなるという事もザラ。当然、給料は安くなる。
不況の時はまだ仕事が無いから嫌々でも介護の仕事をしていただろうが、仕事の選択肢が増えれば介護の仕事を選ぶ人は減る。
そんな綱渡りの経営なのに、報酬までカットされる。心が折れて当然だ。
(2)経営実態を読み解く
さて、記事によると「報酬引き下げに納得できない 96%」とある。逆に納得できるが4%いること自体が驚きだ。
そもそも自分の収入が減る事をどうやって納得できるのだろうか。
更には「経営状態の悪化 44%」「事業継続が難しい 14%」とあり、合算すると58%もの事業所が事業継続が難しいと回答している。
しかし「変わらない 36%」があり、それは事業継続が難しいと回答しなかった42%に含まれるのだろうから、6%の事業所は収入が上がったという計算になるのだろうか。よく分からないけど。
(3)選挙が終わってしまえば
じゃあ、だからどうする?という議論が一切ない。
確か総選挙でも、訪問介護の報酬減を解消みたいなことを言っていた政党なかったっけ?と思うが、政局がぐらついている時に介護の事など構っていられないのだろう。
もしかしたら何もないという事もあり得る。
そうすれば全国で訪問介護の事業所は潰れる。いや、大手は残るだろうから淘汰されると言った方が正しいかな。
つまりは事業をどうやって継続するかだが、これは経営手腕という事もあろうが、どうやって心を折られずに頑張れるかだ。
おそらく誰も助けてくれない。それでもどうするかがポイントになる。