(1)存在があやふやなケアマネ
今回のテーマが「Re-start」だと言う。
色々と言っているが、現場のケアマネがあらゆる面で停滞して、どうにもならない事はお偉方も感じているらしい。
そもそもケアマネは最初から無理筋だった。
独立事業としては大方が赤字という報告があり、なぜ事業継続できたかと言えば、サービス事業所と組み合わせることによって成り立たせてきたからだ。しかしサービス事業所はほとんどが営利法人。公正中立をうたうケアマネとは相容れない場面も多々あった。
当たり前だが、営利法人は儲かってナンボである。
利用者を呼び込むケアマネは、営利法人にとっては営業マンに過ぎない。
更に言えば、それなりの経験もあるので、研修やら他の雑務にも使える。
使いこなせば便利なヤツという存在である。
利用者にしてもケアマネという人は何やらよく分かっていない人が多い。「ケアマネって何をする人ですか?」と聞かれる場面はよくある。そういう人はケアマネを便利屋に使おうとしている人が多い。
大方の人は毎月利用票を持って来るだけの人、という認識である。ケアマネ自身が「身近な専門家」としての存在感を証明しなければ、いつまでも便利屋の域を出ない。
しかしそれは制度の構造上から言っても難しかった。
(2)待遇改善策は
それで集中減算を課して自社への利用者の誘導を制限した。独立事業として行えるよう、加算を設置した。
更に今度はケアマネ事業所の管理者要件を「主任ケアマネ」に限定することにした。
そうする事でサービス事業所との分離をし、ケアマネージャーとしての役割を明確にする目的があるのだろうと思う。
個人的にだが、そのやり方は大方間違いではない。
間違ったのはスタートで、それを何とか軌道修正している感はうかがえる。
しかし「主任ケアマネ」を受けるためには自治体の推薦が必要で、「自治体の事業に積極的に協力する事」などを宣誓させられる。つまりケアマネ事業所は自治体の犬に成り下がるという事だ。
ついでに言えば行政としては福祉の専門家を無料でこき使う事が出来る。
主任ケアマネを取っても給料が上がるわけでもない。
ただ無駄な仕事が増えるだけだ。
そんな事は今はSNSですぐに拡散される。
現場で働くケアマネの怒りや焦燥感、愚痴は相当根深く渦巻いている。
「バカにするな!」というのが多くの意見ではないだろうか。
(3)死に体に鞭打つことに
今年度、ケアマネ試験の受験者数が減少したと報道があった。そりゃあ、介護の仕事をする人が少なくなれば、実務経験が必要なケアマネ試験の受験者数は減るだろう。
介護の仕事をする人にとって、ケアマネは憧れの仕事だろうか?それとも取るべき資格の一つだろうか?
受験資格が出来たから、とりあえず受けておこうくらいの感覚ではないだろうか。
ケアマネの事を議論されているが、介護業界全体が地盤沈下している。その中でガタガタ綺麗事を言っても「笛吹けど踊らず」という事になる。
本当の声はSNS上にある。
お偉方にとっては都合の悪い話だろうし、聞く耳を持つとは思えない。
おそらくこれから出て来る話も、現場で働いているケアマネには響かないだろう。既に死に体になっているケアマネにとってはとどめを刺されるくらいのものしか出て来ない。
死に体に鞭打つことは辞めて欲しいと思うが、そんな気の利くことは無いだろうと思う。
