(1)ケアマネの出番は
高齢者が介護状態になり、介護サービスを使いたいと最初に相談するのは役所か地域包括支援センターということになる。そこで介護申請をして、実際に介護サービスを使いましょうとなった時にケアマネージャーが登場する。
ケアマネージャーはその高齢者の現状をアセスメントし、どのような生活をしたいかという目標に向かって支援計画(ケアプラン)を作成する。そしてその手段として介護サービスを使う。その事業所はケアマネージャーが探すという事になる。というのが法の建前というか前提。
(2)ケアマネを雇う事が事業所運営成功の絶対条件だった
そうすると、まず当たり前なのは介護事業所を開設しようとするときに、ケアマネージャーがいる事、つまり居宅介護支援事業所というが、それを併設する事が絶対条件になる。
デイサービスなどは独自の持ち味を出しやすいが、訪問介護などは独自の持ち味を出すのは難しい。とすれば他の居宅介護支援事業所に営業してお客さんを紹介してもらうよりは、自社でケアマネを雇い、そこから利用者を確保するというのが王道である。
ついでに介護保険開始当初は今ほどケアマネの待遇はよくなく、7割方赤字事業と言われてきた。それを利益が出るであろう、他の事業所と組み合わせる、言葉悪く言えば押し付けることにより居宅介護支援事業所は成り立ってきたとも言える。
しかし今でもあるようだが、利用者側が例えば知り合いのヘルパーがいるからそこの事業所に頼みたいという希望を持っていたとしても、ケアマネの事業所と併設のヘルパーを使うよう言われる。強要されるまではいかなくても嫌な顔をされる。
そこで一つの事業所にはケアマネの持ち件数の8割まで、という規定が加わった。
しかしそうは言っても上手くいかない時だってある。
中にはケアマネと信頼関係が出来、「あなたが良いと思う事業所でお願いします」と言われれば、一番信用できる事業所を選択するのは当然だろう。
そんなことで8割を超える時もある。
そんな時は半年ごとだが役所に書類を提出する事で基本的には許される。
(3)利用者の為なのか?
ここで問題に思うのは、先に挙げた利用者側から希望があった事業所よりケアマネの意向が優先される(それも場合によるが)のはいかがな事かだが、そもそもほとんどの利用者はどんな事業所があるかも知らない。つまり紹介してくれた事業所が良いか悪いかは数字によるものではなく、上手くいったかどうかの結果論である。
8割がどうだとかは利用者側には一切関係ない事なのである。
更にひどかったのは、ケアマネがどの割合でサービスを紹介しているかを利用者に説明する義務があった事だ。(現在は努力義務)それにより返戻させられた事業所も数多い。
ついでに以前も取り上げたが、記述は「複数の事業者から選択できる」を「多様な事業者から選択できる」と読み替えていた事業所が運営指導で摘発され、結局裁判にもなったという事もあった。
介護保険は様々な運営基準があるが、それが利用者の利益を損ねるものなのかというのははなはだ疑問である。意味のない基準によって指導され、挙句の果てに報酬を返還させられる。これではやる気も無くなるというものだ。
やる気がある人ほどこの業界を離れていく。これが介護業界の現状である。