(1)私の尊敬する故野村監督。
現役の時は三冠王。初の兼任監督。ブームとなったID野球。阪神・楽天では優勝には至らなかったが、その礎を築いた名将である。
野村監督が言っていた「無視・賞賛・非難」や「真面目・不真面目、優等生・劣等生の組み合わせ」などは野球選手だけでなく、一般にも当てはまる人物観察の見方として大いに役に立っている。
一人の人間として尊敬している方である。
(2)楽天という球団。
当時、野球界の再編の時期であった。
野村監督も在籍した南海ホークスがダイエーになり、その後にソフトバンクホークスとなる。
阪急ブレーブスもオリックスブレーブスになり、その後にオリックスブルーウェーブになる。
楽天は、近鉄バッファローズがオリックスと合併し、オリックスが選手をプロテクトした後に出来た球団であり、仙台に拠点を移した。
1年目。開幕戦こそ勝ったものの、その後は負けが続き、最初の監督であった田尾氏は1年で解任になり、その後を受けたのが野村監督であった。
楽天という球団、簡単に言えばオリックスに言った選手以外の2軍選手や、他球団を戦力外で追われた選手の集まりでもあった。おそらく山崎選手もその一人。中日でホームラン王になったものの、オリックスを経て楽天にたどり着いた選手である。
(3)人によってアドバイスは違う
この記事の後の話になるだろうが、山崎が変化球で三振して戻ってきたときに「もっと自惚れろ。お前に直球で勝負するわけないやろ」と言われたという。
こういう言葉をかけられたらどう思うだろうか。
プロ野球選手とはいえ、前の球団を解雇された人である。つまりはいらないと言われた人。しかも野村監督に最初は良い印象が無かったという。これで現役も終わりかと思っていた時に言われた言葉がこれ。
嬉しくないはずがない。
もっと伸びしろがある。
ここから相手の配球を読む勉強をして再度ホームラン王になるのだ。
これは山崎選手がそれだけの力を持っていると認めたからのアドバイスである。力のない選手にこのように言っても、ただ調子に乗って結果は出ないだろう。
人によって声のかけ方は違う。
この記事のような無視。
そしてこのアドバイスのような賞賛。
おそらく期待に応えられなかったときは非難もされただろう。
やはり後世に語り継ぐべきエピソードだと思う。