(1)介護保険の意義は
介護保険という制度、施行されてから24年、約四半世紀が経とうとしている。今までは家庭で、しかも嫁が担ってきたであろう介護であったが、共稼ぎ(今では女性の社会進出か)家庭の増加、都市への人口流出など、社会の問題として再構築する必要がありゴールドプランの後に出来た制度である。
ではその介護保険以前の措置制度と比較してどうだったかという事になるが、社会的には家庭の負担になっていた介護というものを任せられる業種が出来た事、病院の社会的入院の解消(出来たかどうかは分からないが)など、役割としては果たされてきたのではないかと思う。
一方、悪くなったことと言えば職員の給料。
私は措置の時から介護の現場にいるが、当時はそこそこの給料をもらっていたし、ボーナスも5.25か月だったかな?それだけもらっていた。それが介護保険になればそこまで給料はもらえない。それは仕組みの問題でもあろうが、例えば保育園や児童館などが民間認り待遇が悪くなったように、民間になると待遇は悪くなる傾向にある。
(2)憧れられる仕事になるために
上記のように待遇が悪い、というだけならまだ余地はあると思う。特に不況の時には福祉人材センターの主催する説明会は入場制限がかかる位人気だった時代もあるからだ。
それがここまで見放される理由は何だろうかと考える。
それを考えた時に「そもそも高齢者のお世話をしたいですか?」という事。
多くの仕事は「こういう仕事をしたい」という気持ちは大なり小なりあると思う。その中で介護職というのはどういう魅力があるのだろうか、という事。
だから何で介護の仕事が避けられるのか、介護の仕事をしたくない人から話を聞いたほうが良い。
間違っても介護の仕事は憧れられる仕事ではないという事を入り口にしないと正しい現状把握は難しいだろう。
(3)どういう人を助けてあげたいか、という事
そもそも人の世話をする、助けるとはどういう人にしてあげたいかという事もあると思う。
そういう意味で、介護の現場で一部であるが、高齢者や家族からのパワハラやカスハラといった、介護職員への攻撃があるのは事実だ。
おそらくそういう人に当たったら、何とかして助けてあげようとは思わない。ケアマネをしている私でも最低限の支援しかしたくないと思う。
しかしそれを越えるものがある。それが教育だ。
高齢者にも若い時があり、汗水たらして働いてこの国を支えてきた歴史がある。こうした尽力に感謝し、老後を健やかに過ごしていただくという気持ちだ。
介護職でこの概念を持っている人はどのくらいいるだろうか。
生活歴などを聞いて「今までこの国を支えて頂いてありがとうございました」と素直に言えるだろうか。
核家族化した現代の日本で、高齢者の位置づけは危うい。番組を見ても「シルバー民主主義」などの高齢者ばかり優遇して、という若者の怒りすら感じる。
メスを入れなくてはならないのはそこだろうと個人的には思うが、おそらく難しい。多分無い。