対岸の火事とはこのことを言う | ケアマネ時々卓球、時々その他

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仕事は介護、プライベートでは卓球を中心に、その他もろもろ思いつくままに書いてみます。テキトーな独り言です。

 

 

(1)現場の厳しい環境を心地よい環境で話し合う

まずこの会議の様子を見て欲しい。

9/12というと東京は33℃の猛暑日。ヘルパーは大汗をかきながら業務に走る。片やその運命を決める人たちは冷房の効いた綺麗な部屋でお茶を飲みながら、どうなろうと自分には関係のない話し合いみたいなものをしている。

 

この様子を見て介護職員はどう思うか。

「制度を決める人や政治家、公務員は一度でも介護の現場を経験して欲しい」と介護職員は言う。それ自体は意味の無い事だと思う。というのは、介護の仕事をやりたくないから他の仕事を選んでいるのであって、介護の現場を経験したところで彼らの気持ちには響かないからだ。

 

まずそういう前提で記事を書く事とする。

 

(2)ヘルパーという仕事が避けられている

介護保険設立当初というのは雨後のタケノコのように事業者も増え、ヘルパー講習も盛況だった。介護保険で言えば、そのブームは数年だった。

いわゆるコムスンショックがあり、ヘルパーの労働実態が明らかになった頃から人気は冷め、介護の専門学校も定員割れを起こし、介護の仕事が避けられるようになった。

 

その上、ヘルパーの時間の短縮や移動の問題など解決されない問題が棚上げにされる事態であり、訪問介護の根幹を担う「登録ヘルパー」自体が成り立たなくなった。

そうすると財政的に苦しい零細企業は窮地に追い込まれる。今存続しているヘルパー事業所は常勤職員で何とか回している。とすると利用者の希望する時間に来てもらえないという事も当たり前になってきた。利用者が希望する時間より、ヘルパーが入れる時間が優先される。さらに言えば生活援助や家族対応が出来る人など優先順位が低い利用者は飛ばされる事も出てきた。

 

(3)ヘルパーをやりたがらない理由は何処にあるのか。

『国の調査によると、ヘルパーとして現場で働くことを希望する人が少ない要因では、

◯ 1人で利用者宅へ訪問してケアを提供することへの不安が大きい(85.3%)

◯ 他のサービスと比べ、実質的な拘束時間が長い割に効率的に収入が得られない(66.7%)

◯ 実際に仕事をしてみないとやりがいが理解しづらく、事業所によるアピールが難しい(65.3%)

※ 出典|令和3年度老人保健健康増進等事業「訪問介護事業のサービス提供体制の見直しに関する調査研究事業」』(文中より)

 

とあるが、これは誰に聞いたアンケートなのか。

 

そもそも介護という仕事を避ける理由と、高齢者の面倒をみるという概念的なものはイコールではない。

 

というのも「お年寄りを大事にしましょう」とは聞いたことはあるだろうが、その高齢者がどういう時代を生きてきて、これからどのように死を迎えてもらうか、という話は聞いたことが無いのだ。

 

とするならば「おいしい仕事か そうでないか」という価値観でしか判断が出来ないので、当然「おいしくない仕事」であれば避けられる。

 

それを何とか理由付けしたところでどうにもならない。

 

この審査会の人は対岸の火事くらいにしか思っていないだろう。

これでどうなってもこの人たちは責任を取ることは無い。

 

おそらく介護現場の人は全く期待していないだろう。