(1)何が言いたいのか分からない
これまでも介護事業所の廃止、倒産の記事は多く取り上げてきた。それなのに離職率が少ないというのはものすごく違和感がある。
全産業の離職率が15%であるのに対し、介護職の離職率は13%台であると、何のアピールか知らないが、だからどうしたという記事。
何で離職率が少ないのか、という事をレポートしていない。
それがこの記事の物足りない所である。
(2)介護の仕事自体は嫌いじゃない
そもそも介護職という仕事、給与面や社会的な評価が低いとか、マイナスな事をよく言われるが、働いている側からすれば仕事自体はさほど嫌いではないという人は多いと思う。
確かに面倒な利用者がいれば頭に来ることもある。
逆に良い利用者も沢山いる。
仕事をしていてこちらの方が助けられた事も沢山ある。
人は好きか嫌いか二択で判断できるものではない。
良い時もあれば悪い時もあり、その積み重ねた人と人との歴史は何物にも代えがたいものであるし、自分の糧にもなる。そういう思いがあるから職場は嫌っても、この仕事自体は嫌いになれないというのはその通りだろう。
(3)なぜ介護側の離職率が低いのか
そもそもこの調査のやり方だが、それは事業者調査である。しかも無作為に抽出した所という事であり、回答が得られた事業所であるというのが前提。
当たり前だが倒産した企業、事業廃止した企業には調査は出来ない。さらに言えば面倒くさい。
今回の調査は厚生労働省からのものだが、時期にもよるが、自治体や県からも同じような調査がわんさかと来る。その都度同じような回答をして、事業所も辟易としているのだ。
だからこれは一つのサンプルに過ぎないという事は当然。
(4)「でもしか介護職」
また、介護職に就いていた人が他の仕事につけるかという事。
若い人は他の仕事もできるかもしれないが、ある程度年配の方、主婦から介護職になった人は、それこそ働ける仕事が限られてくる。
介護職が嫌だから、じゃあ次は営業職に、という事にはならない。
かつて「でもしか教師」と言われた時代があった。
「教師でもやろうか」「教師しか仕事が無い」という時代だ。
今は「でもしか介護職」のように思う。
(5)介護という魅力は
今でも思うが、高齢者を敬うという事がどういう事か教育を受けたことは無い。
最近はとか「老害が」「シルバー民主主義」という言葉が言われるような、そんな若い人と高齢者の対立概念のようなものを感じる。
一定のお金しかなければ若い人の未来に使うか、高齢者の今までの感謝の気持ちに使うかという考えになってしまえば、今の貧乏な気持ちでは高齢者に使う余裕などは全くない。
ではなぜ介護の仕事が必要なのか、という事を堂々と言える世の中であれば、介護職の魅力というものをもう少し訴えられるかもしれない。それに伴って入職・離職の話も出来るだろう。