(1)結論ありきの「高齢者虐待研修」
年に1回くらいは高齢者虐待の研修を受けさせられる。あえて「受けさせられる」というのは大体において「介護職員による虐待」という結論ありきの研修だからだ。
私も利用者と関係が上手くいかず、何かと暴言を吐かれることもある。ハッキリ言って理不尽だと思うし、話し合う余地もない。だから言い返したいのは山々だし、言われた暴言の分やっつけてやりたい気持ちである。しかし本当にそこまでやる人はそうはいないだろう。仕事だからとぐっとこらえてしまうケースの方が介護職員は多いと思う。
(2)高齢者の虐待の定義とは(心理的虐待)
「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」第一章 総則第二条に「高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。」とある。
私、福祉の業界にいて何十年もたつ。
介護職員が高齢者を罵倒したり、無視したりという場面など一度も出くわした事が無い。
しかし報道にもある通り、この国のどこかでそういう事件は実際に起こってしまう。
ではそういう事件がなぜ起こってしまうのかという因果関係について考察された記事を読んだことが無い。
(3)デイサービスでは
高齢者に暴力をふるったりして報道される事件は施設が多い。中でも夜勤帯とか人がいない時に起こってしまう事が多いように思う。
それでは例えばデイサービスなどでは起きているだろうか?
これも事例でも聞いたことが無い。
という事は職員が複数いて、人の目もありという場面では起きにくいという事だ。
(4)家族の気持ちは
「(虐待を)止めるのは外部の目です。それは介護保険の役割であるべきです。今の介護保険は介護が必要な人が使う保険ですが、介護をする人にも使えるサービスが必要になってきています。ケアラーを大事にすることが、虐待防止に限らず大切です。」(文中より)
ケアらーを大事にすることは当たり前だが、介護保険の役割かというと何とも言えない。
今は介護者教室などは地域包括で行っている事もあるが、おそらく参加者は少なく、ケアマネが話を聞いているケースの方が多いだろう。
こういう話をしたり顔で話す奴は多いが、介護職員のメンタルケアというか、大事にするという取り組みは聞いたことが無い。それじゃあ、こんな仕事見放されるよと思う。
介護職員は気持ちのある人が多いと思うが、一旦その気持ちが切れたらもう戻れない。今までそこに目を向けなかったツケが今着ている。今後さらに余裕が無くなれば、放っておかれるという虐待はさらに増えるだろうし、本質に目を向けないこういう記事ばかりしかなければ決してなくならない。