(1)虐待件数でみる在宅と施設
「2021年度の介護従事者からの虐待判断件数は735件(通報件数は2390件)ですが、家族や親族からの虐待判断件数は1万6426件(通報件数は3万6378件)で、家族や親族が虐待しているケースのほうが桁違いに多いのです。それどころかアンケート調査では介護家族の3~4割が虐待経験があると答えています。」(文中より)
比較する材料として妥当なものなのかは分からないが、施設に入れる事は悪くないよと言いたいのは分かる。
1.高齢者が在宅にいる理由
①住み慣れた家にいたい
②家族(子供)といたい
③施設で共同生活は嫌
④知らない所に行きたくない
⑤施設に入ったら出て来れない
2.高齢者が施設に入る理由
①家で生活が出来ない
②家族に迷惑がかかる
③一人でいたくない
という所だろうか。
(2)親孝行、子思い
「孝行したい時に親は無し」というが、親孝行というのはどういう事だろうか。
まず親より先に死なない事だと思う。
おそらく自分の子供の葬式を上げなければならないほど辛いものは無い。もっとも国の非常事態でどうしようもない状態だったとはいえ、戦争時にどれだけ辛い思いをした人がいただろうか。
戦後、事故でも病気でも、やむを得ない事はあろうがそうなった時に親は何を思うだろう。運命を呪ったり、自分が何か悪いのではないかと思ったり、様々な事を考えると思う。
勿論、子供が大成し、立派になれればそれは良い。しかし最終的には元気でいてくれればという思いではないだろうか。それが子から親への親孝行の一番だろう。
大して親から子への子思いというのはどういうことか。
それはやはり面倒をかけたくないという事だろう。
同時に介護状態になったら子供が面倒をみてくれるという気持ちも併せ持つ。
しかし子供の立場で言えば、別居したり孫がいたりなど面倒を見なくてはならない存在がある場合は親の事はどうしても後回しになる。
それに連れ合いの場合であれば、誰か押し付けられる人はいないかと思うのもあるだろう。
(3)介護というのは所詮
私がケアマネとして重視するのはやはり家族の介護力である。
本人の自立度と合わせて、やはり目が離せない時間が多くなればそれは在宅生活の限界という事である。
やはり年老いた親が在宅で一人でも二人でもいることは気が気でない場合は多い。火の心配や食事や、遠方にいても頻繁にいかなくてはいけないのであればそれはキツイ。
どんなに介護サービスがあっても、24時間見ることは出来ないのだ。
所詮、と言ってはなんだが介護サービスには限界がある。
それを受け入れるかどうかだが、おそらく施設に入って良かったねという報道やドキュメントを見たことが無いので、それは無理なんだろうと思っている。
