(1)理解できない天皇論
私は昭和45年生まれであり、物心がつく頃は戦争が終わってまだ30年くらいしかたっていない頃である。その時から「天皇って何だろう?」というのは疑問に思っていた。
子ども心に「偉い人なんだ」というのは分かるのだが、なぜ偉いのかが分からない。
私が高校3年生の時に昭和天皇が崩御した。その時は全テレビ局が特番で、レンタルビデオ屋が繁盛したという話もあった。
(2)神様が隣にいる、いつも見ている
古事記の中ではイザナギ・イザナミの国造りから始まり、その神様の系統が天皇となる。
そして太陽の神様である天照大神の孫の邇邇芸命が国を譲られ(天孫降臨)、その子孫が神武天皇となる。
おそらく神様は身近にいる。
日本では日常のあらゆるところに神様がいる。
火の神様、水の神様、風の神様。
そして太陽の神様。
子供の頃は悪い事をすると「お天道様が見ている」と怒られたものだが、これも神様という存在が身近にいて、悪い事はいけない事だという当たり前の教育の根源にもなっている。
(3)2000年も続く皇統
歴史的・考古学的に見れば、日本という国が始まった頃、いわゆる縄文時代とか弥生時代とかいう古代の時代があり、ムラができ、そこが統一され、「大王(おおおみ)」とか「大君(おおきみ)」というリーダーが出来、それがのちの天皇となったのだろうとは思う。
しかし大事なのは、始まりがいつという事という些末な事より、2000年もその系統を男系でつないできたことにある。
そして日本という国は権威と権力が分離している国である。時の権力者は同郷のように自分で天皇になろうとする人はいたが、殆どはその権威に近づくことによって権力を行使した。
(4)象徴天皇としての役割
天皇は憲法では「日本国の象徴」とされる。
そもそも象徴とは何かといえば、春の象徴が咲良だったり、夏の象徴が花火だったりするように、日本という国の省庁が天皇であるという。つまり海外から日本人を見た場合、まず象徴となるのが天皇という事だ。
従ってその振る舞いや言動は相当気を使うものであろう。
つまり日本国の信用は天皇の信用という事でもあるのだ。
愉快不愉快の話ではない。