(1)論破王と言われて
彼自身はそう名乗ったことは無いが、論破王と呼ばれているひろゆき氏。ネットテレビで国会議員である米山隆一氏に論破されたとして話題になっている。
そのひろゆき氏の議論の方法だが、米山氏は以下のように分析している。
①どんな相手に対してもまったく怯まない(ほとんどリスペクトを感じていない)。
②話題をずらして誤魔化したり、人身攻撃をして相手を動揺させたりする口喧嘩(議論ではない)のテクニックが豊富。
③②のテクニックをちょうどいいタイミングで繰り出す回転の速さがある。
④一方で議論の前提となる事実や論理構造の理解は平凡。
(2)しかし強くなければ戦えない
①のどんな相手にも怯まないというのは相当強い武器になる。まず自分に相当自信があるのだろう。正しいかどうかは別として裁判などで苦しい事もあっただろう。しかしそれを乗り越え、築き上げてきたという事だと思う。
それともともと議論はスポーツ感覚のようで、自分が本当に思う事でなくてもそれなりに論を張れるトレーニングをしてきたんだろう。
おそらくひろゆき氏にとって、米山氏は関わらなくてもいいどうでも良い存在。ビジネスで絡みも無ければ、ましてや政治家としても。だから少女売買春問題を蒸し返してバカにしたかっただけに見えてしまった。
しかし選挙に当選するという事は、過去の過ちを未来への期待が上回り民意を得ることが出来たという事。ひろゆき氏は少女売買春問題をもって政治家をやるべきでないという主張をしたが、それを決めるのは有権者である。
少々ちゃちゃを入れられても支持を得たという武器は強い。
(3)人を傷つける方法
一つは「言い逃げする方法」。通りすがりに「バカ!」と言って去ってしまう。言われた方は言い返そうにも相手は既におらず、ぶつける相手もいないという実に陰湿なやり方。
もう一つは「言ってはいけない真実をそのまま相手にぶつける方法」。太っているとか剥げているとか、それこそなんでも良い。こういう低俗な悪口に対抗するには自分がそこまで下りて戦うか言われ損と分かりながらも無視するかしかない。
「バカな奴に向かってバカというのは事実を述べているだけで悪口ではない」という屁理屈を言うやつがいる。しかしこれはただの「心無い人間」であり、相手にしないのが一番である。
又、「頭の良い人」に対して「バカ」とののしる事で傷つけてやろうという「知能的」変態もいる。これは綺麗なものを見ると傷つけたくなる「晴れ着魔」みたいなもの。
いずれにしても「お前最低だな」で済む。
(4)相手に対する敬意と愛
議論というのは争っても良い。しかし目標がどこにあるのか、という事である。サッカーでもラグビーでも高く上がったボールを追う場面ではほとんどぶつからない。ボールをつかむという目標があればこそである。
相手をなじり倒すのは議論でも何でもない。ただのケンカである。どう変えていきたいのか、ではどうすれば良いのかを自分の利益だけでなく広い視点で討議することが大事だと思う。やはりそこには相手に対する敬意や愛が必要なんだろうと思う。もっともそういう気持ちが無ければどうでもいいが、それはテレビで流すものではない。