(1)衝撃を与えた訪問介護の報酬減
2024年の介護報酬改定、もっぱらの話題は訪問介護の報酬減だろう。言わずもがなだが、そもそも介護職へのなり手がいない。特に訪問介護は1人の求人に対して15事業所が取り合いになるという、なんとも悲惨な状況である事が分かっているというのにである。厚労省は処遇改善加算で評価して欲しいというが、そもそも人がいないのに処遇改善加算を活用できる事業所はどれだけあるだろうか。それに事業所の体力を奪う報酬減は、単純に訪問介護は衰退の道であることを宣言しているように見えるのは私だけだろうか。
(2)厚労省の調査項目
記事の内容だが、来年度は報酬改定がどのような効果・影響があるかを調査するそうだ。その項目は以下のとおりである。
①高齢者施設と医療機関の連携体制などに関する調査研究事業
②福祉用具貸与価格の適正化に関する調査研究事業
③リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の一体的取り組みに関する調査研究事業
④地域の実情や事業所の規模などを踏まえた効果的かつ効率的なサービスのあり方に関する調査研究事業
やはり経営実態調査は行わない。
大方の予想では訪問介護の倒産や事業撤退が増えるという事はよく言われている。それでもそこに危機感を感じていないという事は、それでも訪問介護は存続するという見通しがあるという事だろうかと思うのだ。
(3)人の苦労はどうでもいい
そりゃあ、野党からの質問に対しては「訪問介護の大切さはよく分かっている」と言うだろう。その上で理解を求めるという姿勢もその通りだろうと思う。
それでも訪問介護に対する態度は変わらない。そして撤退した小規模事業所のシェアを大手が取り込んでいくというのもその通りだろう。そして地方が取り残されていく。そうして訪問介護が必要な地域とそうでない地域に分けられていく。
訪問介護は在宅の要であるが、それが無いとなれば別の方法を探せばいい、という事だろうか。
よくヘルパーの代わりにボランティアが挙げられる。簡単な家事なら有資格者のヘルパーは必要ないという考えだ。しかしヘルパーの中には生活援助こそ在宅で生活する意欲の維持につながると考え重視する人もいる。
「ボランティアで人をつなぐ街」なんてキャッチコピーが出来れば聞こえは良いが、要はタダ働きで責任は取ってね、という町と宣言するようなものだ。
やはり人の苦労がどうでもいいという事だ。

