(1)高齢者の訴訟問題
最近、このテの話で高額賠償される判決が目立つ。
家族からすれば、大事な親を預けているわけで、そういうリスクは分かるでしょと。プロに任せてお金も払っているんだから、責任持ってよ!というのはその通り。
逆の施設や病院の立場から見れば、身体機能が不安定な高齢者で、いつ転ぶかも分からない。人手もないし、一人一人の一挙手一投足をいちいち見ていられないというのもその通り。
(2)老人ホームや病院は人員基準を満たしている。
老人ホームや病院を設置運営するためには基準があり、人員にも基準がある。今運営されている老人ホームや病院は当然基準を満たして運営されている。
それでも事故は起こるものだ。
このような状況で安全のレベルを上げるとなれば、人員基準を引き上げて、一人一人注意深く対応するしなければならない。もしくは昔の付き添いさんみたいに24時間隣にいるとか。
そうすると費用負担は莫大なものになる。
(3)このような判決が続くと
転倒や誤嚥による事故の高額賠償が続くと、老人ホームや病院も安心して受け入れられない状態になる。
もし、本当に安全というのであれば嫌味になるが、施設や病院に入る高齢者は全員ベッドに縛り付けて、胃ろうとか、施設や病院側にリスクがかからないやり方でやれば事故は防げる可能性は高い。それでいいの?という話。
(4)事故は起こるものとして考える
おそらく世間一般では、施設や病院ではそういう事が起こらないという前提で話をするのだと思う。
しかしどこの施設でもとは言わないが、脱走するケースだってある。フラフラしていれば転んだりどこかにぶつかったりすることだってある。場合によっては事故もあるだろう。医療でも説明のできない急変もあり得る。
やはり入院・入所の段階でそのリスクは説明すべきであり、承諾を得る必要がある。
職員は細心の注意を払っていると思う。それでも事故は起こる。こういう判決が相次げば、こういう仕事をしようと思うだろうか。利用者や家族がモンスターにならないうちに対策が求められる。