戦う気力すらない介護事業者 | ケアマネ時々卓球、時々その他

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仕事は介護、プライベートでは卓球を中心に、その他もろもろ思いつくままに書いてみます。テキトーな独り言です。

 

 

(1)介護事業所への処分

最近、ちょくちょく実地指導の話を取り上げるが、順序として「運営指導」というものが入り、問題があれば「過誤申請」という形で「事業所が自主的に」返還する。それに従わなかった場合は「監査」が入り、それで指摘されれば「返還命令」という形になる。

この記事の内容は介護報酬不正請求の返還命令及び事業所の指定取り消しという重い処分だったという事である。

 

(2)介護事業所はなぜ訴訟に踏み切らなかったか

それでこの問題、事業所の指定取り消しという事は事業を存続する事が出来なくなる。仕事が無くなるわけだから処分内容不服として訴えを起こしても良いとも思う。処分内容は利用者に不利益をこうむらせたことが理由である。そうであれば本当に利用者に不利益を生じさせたのか、その立証責任は行政にある。おそらくそれは指定取り消しに至るまでの証明は難しいかもしれない。だからやろうと思えばできるはずである。他の業種なら戦う姿勢を示すところもあるだろう。

そして結論として訪問介護事業所は無くなるが、有料老人ホームとして存続するという。返還金額が倒産するほど大きくなく、この程度の報道で済むのであれば、訴訟をしてまで現状を維持する必要もないと判断したのだろうと思う。

 

(3)対岸の火事ではない

この件を聞いて、全国の事業所がどう思うかというのは大事な視点だ。

①自分の所は関係ないと思うか。

②そんな不正請求はけしからんと思うか。

③自分の所に火の粉が降りかかりさえしなければよいと思うか。

もし運営指導で過誤での返還命令が出ても、言い分があろうとも戦う気力すらない。この程度の処分ならまあ甘んじて受け入れても良いという判断になるところは多いと思う。そうした逃げの姿勢が仮に行政がいい加減な運営指導を行っていても正しい指導を行っていたとさせてしまう元凶にもなっている。

 

(4)介護事業所は全方位に包囲されている

介護事業所と言うのは丸腰で最前線に立っている。利用者、家族、行政と全方位囲まれている。どこにトラップがあるか、これでは衰退するばかりだ。

去年は介護事業所の倒産件数が過去一だという。おそらく倒産だけでなく事業廃止も多かった事だろう。

 

まあ、介護なんてそういう業界だから、と長くやっているとそう思う。