今まで家族が面倒をみてきた高齢者福祉は「措置制度」という括りで行政が主体となっていたものを「介護の社会化」を目的に、民間参入を促した。そうして行ってきた介護保険も20年以上がたち、「介護」という言葉も、何をしてくれるかはまだ浸透していないが、言葉としては一般的になってきた。
同時に介護現場における事故や虐待などの負の部分も明らかになってきた。
しかし、この負の部分は介護者が弱い立場の高齢者に行うといったことが事例として多く取り上げられて、というより高齢者から介護者への云々は蓋をされてきたと言ってもいい位だが、我々介護事業者側の心を折るものだったと言わざるを得ない。
得に虐待の研修などで取り上げられるケースは事例検討の発表で「これはぁ~介護者のぉ~○○的虐待だと思いまぁす」みたいなことを言わないといけないような雰囲気で、その裏にはこんな利用者に嫌な思いをさせられてるのは自分たちだよと苦虫を噛み潰したような顔で帰る介護事業者の顔は印象的だった。
つまり、何かあれば介護事業者のせい、というある種の押し付けがあり、そのリスクからも介護の仕事を避けるという事も起こっているのではないだろうかと予想する。
記事の通り、介護の現場を訴える人も増えてきた。
以前からも病院などでは、訴えるなどしないが、「あの病院に親が殺された」と思っている人も少なからずいた。医療訴訟というのは昔からあるが、勝てるか起こってと言われればそれは難しいからだろうと思う。
しかし介護現場では医療でも証明しきれない、介護職員がちょっと目を離した時に起こってしまった事故を、そこの管理不行き届きという一本勝負で押してくる。
個々の事情は色々あるだろうから、色々とご意見はあるだろうと思う。しかし、このような訴えに至ってしまったのは一つは施設と家族のコミュニケーションが取れていなかったという事。二つ目は親を金儲けの道具に悪用する輩がいること。三つめは信頼できる施設より入れる施設を選ばざるを得ない事。四つ目はやはり人員不足という事だろうと思う。
介護というまだ成熟されていない不安定な状況で起こる問題を、介護事業者は一手に引き受けているという見方もできるのだ。
そりゃやりたくもなくなるし、自分の子供に継がせたくもないわな。
介護がヤバい!って聞くようになったけれど、介護事業者をぞんざいに扱ってきた付けが回ってきているという事と思う。
でも、事業者もすべてが良いわけではない。
どの業種にも変な会社があるのと同じで、介護の業界だってとんでもないやつはいると思う。個人の価値観はあるにせよ、顧客満足度を高める、そして命を預かるという死ぬ前のひと時を共に過ごす介護者であるので、そこを誰がどう評価するかだな。
まあ、今回の改正でこういう事にも着目されたのは良いこと。というよりそこまで放っておかれた介護事業者の疲労は半端ないと一言言っておきたい。