25年位前の話。
まだ介護保険が始まっていなかった頃の話。
当時、老人ホームで生活指導員として働いていたが、その頃指導員研修会で話題になっていたのは「処遇困難ケース」だった。
つまり、昭和生まれの利用者が増えてきて、権利意識が強くなって、こちらの言う事を聞かないというもの。
それでも、中には違う業界から福祉業界に来た人がいて「お客様意識」という事をしきりに言っていた。
わが施設ではそういうことは一切なく、施設長も利用者に「~ちゃん」という人だった。
そして、利用者が何かあるとすぐにルールで縛り付けるような施設だった。
何よりも、就寝時に全館放送を流す。
当時から老人ホームは利用者にとって家であるという考えがあったが、就寝時に全館放送を流す家がどこにあるだろうか。
また現在は支援計画とかサービス計画と言われる書類は、当時は処遇計画と言われていた。
つまり、当時はまだ収容施設としての生活も強く、利用者が自らサービスを選ぶ場にはなっていなかったという事。
話は進み、介護保険施行当時。
なんでもかんでも「~させていただく」という言葉が飛び交った。
制度を含め、働く側も世情に右往左往している。
そこで介護職員に問う。
この仕事で自分らしさを発揮できているか?
発揮できないという方。
私は正解だと思う。
仕事とは働く側がのびのびするものではない。
利用する側がのびのびできるか、自分らしさを発揮できるかだ。
確かに人と人とのつながりなので、好きになる、嫌いになるはあるだろう。それも否定しない。
しかし、一定の距離を保つことは必要かなと思う。
淡々と事実だけを述べる。、自分の主観は入れない。
仕事の基本でもあるが、それが出来ない人も多いのではないかと思う。
悪い人ではないのは分かる。
だから、もう少しかなと思う。
以前、介護職員の質とよく言われた。
こうした失敗例を生かしながら、介護の仕事の認知度がさらに上がることを願う。