介護保険制度が始まる前は措置制度というもので福祉事業は運営されていた。
これはいわゆる〝行政措置“で、施設に入所するには区役所に相談して、その行政の措置という形で入所が決定した。
当時は在宅サービスはあまりなかったが、同じような仕組みでサービスが行われた。
そこでの問題。
まず、介護職員がろくでもない。
私は老人ホームで入所を担当していたので分かるが、常に満床状態。営業しなくてもお客さんが来る、もしくは順番待ちというのが当たり前の時代だった。
何もしなくてもお客さんが来るなら、努力もしない。
話題になるのは「困難ケース」と言われる、職員の言う事を聞かない厄介な高齢者の話が事例検討などで挙げられていた。
そして、給料面。
20代半ばで500万くらいだったと思う。
これは給与表というものがあって、在籍年数とともに上がっていく。
つまりこれも努力しなくても勝手に上がるシステムだ。
これが介護保険が始まる前の実態。
ではこれが悪だったのかというと歴史をたどらなければならない。
そもそも老人ホームの前身である養老院、児童養護施設は行き場を失った人の保護施設からスタートした。
区立施設は公務員だったし、その為の採用試験もあった。
それが高齢社会がテーマとなり、施設収容型から在宅サービスへの移行が図られる。これが1989年のゴールドプラン。
そこから今の財政では高齢社会問題に対応できない。
民間参入を促進し、業界の活性化を計る。これで介護保険事業に民間企業が参入し、質の向上を図った。これが2000年。
確かにこの業界は人気のない業界である。
公務員という肩書で人を釣る作戦はありかもしれない。
しかし公務員化にするという事は制度の崩壊を招きかねないコスト高になるという事です。
勿論、介護という業界で働く人はそのほうが良い。
しかし、厚遇すればするほど、人は働かなくなる側面も考えなくてはならない。
歴史を知っているからこその意見だと思ってもらえれば。