私がケアマネを始めたころ、何故かターミナルケアの依頼が多かった。
どうも他のケアマネは受けてくれないらしい。
確かに状況の変化は多いので、プランを何度も作成しなおす手間はあるが、そんな事は仕事として当たり前と思っていた私にとっては何の苦にもならなかった。
今も数人の癌患者を担当している。
終末期ではないが、そのうちの一人を紹介する。
75歳男性。食道癌でステージⅢ。
今年に入り飲み込みが悪くなり、検査の結果食道癌が見つかる。
数度の化学療法を行うものの、改善せず、今はつばを飲み込むことすらできないほど喉は詰まっている。
胃瘻造設術を行い、自分で栄養剤を入れている。
喉が詰まっているのだから食事はおろか、水も飲めない。
この苦しみはいかほどのものかと察するものである。
この方を担当して8年ほどたつ。
酒飲みで夏場は服も着ず、夜中に裸でごみを出しに行き、若い人に見つかりびっくりされたという愉快な人である。
話している感じでは特に悲壮感はない。生活保護受給者で、在宅での栄養剤が自己負担になると言われても「しょうがない」とゴネることなく割り切る人だ。
今後は家族と一緒に医師と治療方針を決めることになっている。
介護という仕事は疾病に関わらず、人生の終末期を共に過ごす仕事である。
そして、自分が出来ることは自分の職域のみである。
下手の感情移入することなく、やるべきことを粛々と行う。これが基本姿勢だ。
でも
高齢者が三途の川を渡るときに
私に出会ってよかったと思ってもらいたいと願う。
その為の仕事が介護。