その日 家には、私と叔父さんだけがいた。私はその叔父さんが何となく気持ち悪かった。裏庭で遊んでいたが、土間を通って表に行った時のことである。実は

裏庭の方は隣の家の裏庭を通って行けば表に出られるのではあるが。

病床の叔父さんが寝ているのを見ると何となく気持ち悪くて、私は、土間を急いでかけぬけようとした。その時、土間に置いてあった何かを足で踏んでしまった。 その瞬間、私の足が激痛に襲われた。私は土間に座り込み足の甲を両手で

押さえた。そしたら私の小さな指と指の間から沢山の血が流れ出してきた。

これも矢張り五歳の時だった。田舎にいて大怪我をしてしまった事がある。

田舎の家には普通、お爺ちゃんとお婆ちゃんと私だけが住んでいた。

所が、私が怪我をしたこの時期は、叔母さん、母親の姉、そして叔父さん、母親の上から二番目の兄、(私の父親のもとで働いている叔父さんは、3番目の兄)がいた。この叔父さんは体が弱くて、結婚もしておらず、実家に静養にきていたのだと思う。しかしこの時には、体調はかなり悪かったのだと思う。この辺りの事は余り記憶にない。私が事故を起こした当日は、この叔父さんは奥の部屋で寝ていた。昔の田舎の家には必ず土間があった。田舎の家は結構大きな作りで、裏戸から土間を通って表の玄関に通じていた。

とにかく、田舎で過ごした日々は、楽しい思い出しかない。毎日毎日、田舎の子供達とよくあんなに遊んだり、お爺ちゃんやお婆ちゃんの手伝いもよくした。

冬には麦踏みをしたり、みかん畑でミカンを採ったり、秋には、炭焼きを手伝ったり、夏には、川原で遊んだり、田んぼで遊んだり、田んぼにいる、蛙やオタマジャクシを捕まえて遊んだり、竹鉄砲を作り南てんの実をタマにして自然の中にあるものを使ってよく遊んだものである。又、田んぼで食べるお昼ご飯はとても美味しかったし、夜は夜で、お爺ちゃんが布団の中で話してくれる物語が何時も

何時も楽しかった。もしかしたら、こんな所にも、自分の父親や母親になじめない原因の一つが潜んでいたのかも知れない。