1on1ミーティング(一対一の対話)の最中、
部下が自分の想いを話しているうちに、涙をこぼしてしまった。
あなたが上司だったら、どうしますか?
思わず焦ってしまうかもしれません。
慰める? 黙る?
それとも話題を変える?
実際に、こんな相談を受けました。
「部下が泣いてしまい、どう対応してよいかわからなかった」と。
その部下は、「先輩と比べて自分は仕事ができない」という
強い自己嫌悪を抱えていました。
上司も「確かに成果は出ていない」と感じており、
どう関わるか迷っていたのです。
そんな場面に直面したら、あなたはどうしますか?
感情に触れる瞬間こそ、上司としての“あり方”が問われます。
今回は、情熱課長と吉田部長の対話から、そのヒントをお伝えします。
■焦らず、部下の想いを受け止める
情熱課長
吉田部長、先日の1on1で部下が泣いちゃったんです。
自分のことを「何をやっても上手くいかない」って…。
正直、どうしていいか分からなくて。
吉田部長
そうなんだね。
まずは、その場で何か言おうとせず、静かに受け止めたのはよかったと思うよ。
情熱課長
実は、何も言えなかったんです。
ただ、ティッシュを渡して、しばらく沈黙していました。
気まずかったけど、それでよかったんでしょうか?
吉田部長
うん、それでいい。
沈黙は気まずさじゃなくて、“受け止めている時間”なんだ。
泣けるってことは、情熱課長の前では本音を出せたってことだよ。
感情が溢れている時は、言葉を整理できない。
焦らず、ただそばにいる。
それが上司の一番の支えになる。
■心の整理の時間をつくる
情熱課長
なるほど…。
でも、何も言わないままだと中途半端な気がして。
最後に「次回、もう少し話を聞かせてね」って言いました。
吉田部長
それはいい判断だね。
大事なのは、感情が落ち着く時間をつくることだ。
泣いた直後は冷静に話せない。
だから、「今日話してくれたことを少し整理しておいてね」と伝えて、
翌日か週明けの火曜くらいにもう一度面談を入れるといい。
それがちょうどいい“心の整理の時間”になる。
情熱課長
少し安心しました。
それで、次の面談では何を話せばいいでしょう?
■モヤモヤを整理してあげる
吉田部長
まず、部下のもモヤモヤしていることを「事実」と「感情」に分けて整理してあげることだ。
たとえば、
「どの場面でうまくいかなかったのか?」という事実。
「その時どんな気持ちだったのか?」という感情。
「そこから何を感じ、どう活かせそうか?」という学び。
この順番で話すと、“泣いた出来事”が“自分を理解する時間”に変わるんだ。
情熱課長
たしかに、できていない事実と、自分はダメだという感情が入り混じっているようです。
吉田部長
だからこそ、“他人との比較”じゃなく“自分の成長”に目を向けられるように導くことが大事だね。
「今、どこまでできていると思う?」
「そうか、いいね」
「できていないところはどこだと思う?」
「それは伸びしろだね」
「それができるようになるために何が必要かな?」
「その中で、私が協力できることは何かな?」
こんな問いかけをしていくと、
「自分にもできるんだ」という自信が少しずつ戻ってくる。
そして、上司に応援されているという安心感が育つんだ。
■涙は、心の扉が開いた証拠
情熱課長
…なるほど。
泣かせてしまったことを悪いことだと思っていましたけど、
本音を話してくれたサインだったんですね。
吉田部長
その通り。
涙は、心の扉が開いた証拠だよ。
上司にできるのは、泣いたことを問題にせず、
“これからどう向き合うか”を大切にすること。
それにね、部下の涙に向き合うって、
上司自身の“あり方”を見直すチャンスでもある。
「自分も完璧を求めすぎていなかったか」
「成果ばかり見て、努力を見落としていなかったか」
そんな問いを持てる上司は、部下と一緒に成長していけるんだ。
情熱課長
はい、わかりました。
自分を見つめ直しながら、部下と一緒に成長していきます。
■今回の質問
「泣いている部下の涙の奥には、どんな想いがあるでしょうか?」
次回もお楽しみに!
今回の名言
「弱さを見せることを恐れてはいけない。
涙は心を洗い流す雨のようなものだから。」
‐アンネ・フランク‐
泣く相手に
言葉を探さず、心で寄り添う
沈黙の中に、信頼が生まれ
やがてその眼差しが
新しい一歩を照らす
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