「できているところを見る加点主義はわかったけれど、どう使えばいいのか分からない」
そんな声もよく聞かれます。
たしかに、どんなに“ほめることが大事”と言っても、
締め切りに間に合わなければ、それは大問題。
結果、どうしても「なんで終わらなかったんだ!」と怒ってしまい、
部下は自信をなくし、職場の空気まで重くなってしまいます。
では、部下が締め切りに間に合い、しかも自信をつけて信頼関係が生まれるようにするには、
上司はどんな“加点の使い方”をすればいいのでしょうか。
前作
ここで登場するのが、“加点スイッチ”です。
目次
◆加点主義は部下を甘やかすことではない
◆期限と出来を想定した「30‐70ルール」
◆30%面談は「加点」と「共考」
◆主導権は部下に握らせる
◆トラブル対応にかかる時間より、フォローの10分
◆今回の質問
◆加点主義は部下を甘やかすことではない
情熱課長
できない部下の“できているところ”を見つけるのは、正直難しいですね。
なんだか、できないところに目をつぶって甘やかすようで…。
吉田部長
うん、その気持ちはわかる。
でもね、いきなりゴールを達成しなさいと言っても、
部下は「自分には無理だ」と感じてしまうものなんだ。
だから、“できそうだ”と思えるステップを一緒に考えることが大事なんだよ。
情熱課長
なるほど、できそうだと思えればやる気が湧きますね。
どんなステップなんでしょうか?
◆期限と出来を想定した「30‐70ルール」
吉田部長
たとえば、「企画書を作成する」という仕事があるとしよう。
このとき上司は、最初に企画書の目的・条件・期限を伝えたつもりでも、
部下がそれを100%理解しているとは限らない。
結果、最終段階で「方向性が違う!」となり、大きな手戻りが発生してしまうこともある。
情熱課長
あぁ、それは私もやっていますね(汗)。
吉田部長
そこでおすすめなのが、30%と70%のタイミングで進捗を確認する「30‐70ルール」だ。
情熱課長
詳しく教えてください。
吉田部長
まず仕事を任せるときに、こう伝えてほしい。
「30%できたら一度見せてね。期限は一週間後で。」
あと30%の時点では「ここまでやってね」という内容を、上司と部下でしっかり合意しておくことも大切だ。
そして、こう続けるんだ。
「たとえ30%に届かなくても、期限が来たら一度見せてね。」
「もし早くできたら、期限を待たずに見せてね。」
この“期限と出来の両立ルール”を決めておくことで、
時間を無駄にせず、早めに方向修正ができるようになる。
70%のときも同じように確認を行い、必要に応じて軌道修正や支援をすればいい。
情熱課長
なるほど。こうして途中段階で対話を重ねることで、問題が大きくなる前に防げるんですね。
◆30%面談は「加点」と「共考」
吉田部長
30%の段階で面談を行うときは、まず「できているところ」に光を当てよう。
「ここまでよく進めたね」「方向性が見えてきたね」など、
努力や姿勢を具体的に承認するんだ。
そのうえで、次の70%に向けて
「どうすればもっと良くなりそう?」
「何があれば進めやすい?」
と問いかけ、部下と一緒に考える“共考(ともに考える)”姿勢を大切にしよう。
情熱課長
このステップなら、部下の“やる気スイッチ”が入りますね。
◆主導権は部下に握らせる
吉田部長
面談では、上司が、ついあれこれと口を出したくなる。
でも、ここはぐっと我慢だ。
まずは「調子はどうかな?」と穏やかに切り出して、
部下自身が現状の課題や進み具合を言葉にできるように促してみよう。
そのうえで、
「どうすればうまくいきそう?」
「どんなサポートがあれば前に進める?」
と尋ね、本人の主体性を引き出していくんだ。
◆トラブル対応にかかる時間より、フォローの10分
情熱課長
確かにいいと思うんですが、忙しくて時間が取れないんですよ。
吉田部長
でも、締め切りに間に合わずトラブルになったときの対応時間を考えてみてごらん。
その修正・説明・報告にかかる時間とエネルギーは、膨大になる。
フォローの10分とは比べものにならないはずだ。
一方で、この30%・70%での短いフォロー面談を取り入れるだけで、
部下は成長し、信頼関係が深まり、組織のスピードも上がっていく。
情熱課長
なるほど…。
完璧を求め過ぎず、加点スイッチを押していくことが、結果を変える第一歩なんですね。
◆今回の質問
「あなたの職場では、どんな時に“加点スイッチ”を入れますか?」
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