前回はお盆明けのイライラ対処法をお伝えしました。
良い機会なので、もう少し「感情」について一緒に考えてみましょう。
「リーダーは感情を抑え込むべきだ」
そう思っていませんか?
実は、私はずっとそう思っていました。
「怒りや不安、焦りの感情は悪者だ」と。
しかし、その考えを続けるうちに、何も感じなくなり、ただ言われたことをこなすだけのリーダーになってしまった自分に気づきました。
これではいけないと思い、感情について学び実践してきました。
そして分かったことは、
「感情は押さえつけるものではなく、リーダーを成長させる“味方”」
だということです。
◆感情は成長のセンサー
イライラ、不安、焦り…。
これらはすべて「自分の大切にしている価値観が揺さぶられているサイン」です。
つまり、感情は「自分の価値観を知るセンサー」なのです。
◆感情が生まれるメカニズムを知る
人は出来事に対して、そのまま感情が生まれるわけではありません。
事実 → 認知(捉え方) → 思考 → 感情
この流れで感情が生まれます。
同じ出来事でも「どう認知するか」で感情は変わるのです。
例えば、電車で席を譲られた時に「失礼だ」と怒る人もいれば、「ありがたい」と感謝する人もいます。事実は同じでも、認知が違えば感情は全く異なります。
◆感情を味方にする5つのステップ
ステップ1:感情に気づく
まず「自分は今、何を感じているのか」に意識を向けます。
特にイライラや悲しみなどネガティブな感情は「なかったこと」にしたくなりますが、それを否定せず、ただ直視することが重要です。
ステップ2:自分の認知を確かめる
同じ出来事でも、認知の仕方によって感情は変わります。
例:部下が挨拶を返さなかったとき
認知:「無視された」
思考:「失礼だ、信頼されていない」
感情:「イラッ」または「悲しい」
自分はどう捉えたから、その感情が生まれたのかを確認します。
ステップ3:認知の歪みを見直す
私たちは事実をそのまま受け取っているようで、実際には先入観や経験に左右されがちです。
これを「認知の歪み」と言います。
上の例も「無視された」というのは思い込みかもしれません。
紙に書き出すと整理しやすいのでおススメです。
事実:部下はこちらに気づかず通り過ぎた
認知:「無視された」
こう整理すると、
「ただ気づかなかっただけで、無視したわけではないな」
と気づけます。
事実と認知が一致すると、イラッとした感情は自然に消えることが多いのです。
ステップ4:事実から恩恵を見つける
認知の歪みを取り除いた後は、事実から得られる“恩恵”に目を向けましょう。
例:部下が気づかずに通り過ぎた →
「少し元気がないのかな?」と気づいて声をかけられた。
すると、ただのイライラではなく、
「部下の変化に気づけた」という成長の機会だったと受け取れます。
ステップ5:不要な思い込みを手放す
最後に、自分の中の価値観や思い込みを見直します。
「挨拶は大事」
「部下は上司に必ず挨拶するべき」
この“べき”が、認知の歪みを生み出していたかもしれません。
挨拶は大事にしつつも、「必ず部下から」という思い込みは手放す。
これがリーダーとしての成長の一歩です。
◆ネガティブなリーダーのままでいいのか!?
強い感情、特にネガティブな感情を無視すると、認知の歪みは残り続けます。
その結果、同じことで何度もイライラし、ネガティブなリーダーのままになってしまいます。
感情的になったときこそ、この5つのステップを試してみてください。
認知の歪みに気づき、不要な思い込みを手放すこと。
それが、事実を正しく捉え、適切な行動をとれるリーダーをつくっていきます。
感情はあなたを成長させるチャンスです。
次にイライラや不安を感じたら、ぜひ味方につけて成長の一歩にしてください。
◆今回の問いかけ
【今、あなたの感情が伝えようとしているメッセージは何でしょうか?】
次回に続きます。お楽しみに!
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