先ずは自宅で始めた。
子供も小さいし、何としても家を空けたくなかった。
それに店舗を借りるには資金もなかったしね。
玄関を入るとすぐにショールーム。何故か自宅はそんな造りの家だ。
楽譜屋には丁度良かった。
細々とした事務処理は二階でしよう。
さて、楽譜は段ボールで送られてくる。そのたびに空いた段ボールに一つづつ
必ず入ってみるヤツがいる。
どんなに大きくても、どんなに小さくても先ず入ってみる。
段ボールを空けたままちょっと目を離したら大変だ。楽譜が入っていたってお構いなしに入ってみる。
これはこの6月に15才になったヤツ。未だに段ボールは大好きだ。
彼の他にも楽譜を爪研ぎにしたのがいた。ヘンレの厚手で高価な室内楽の楽譜で爪を研いだ。
あ~あ~。もう売れないよ~~~。何冊くらい没にしたか…。
こんな事の繰り返しで、学んだのは飼い主。ネコは決して学ばなかった。ネコは学びたくなかった。
いくらネコ用の爪研ぎがあったって新しくて、いい匂いで見たことも無い素晴らしい爪研ぎが
ドサッとあったら、それを使わない手はない…と信じていた。
とにかく楽譜は隠す。ふたをするなり何かで覆うなり隠す。たとえ紙一枚でも置く。
猫との攻防。人間は日々賢明にならざえるを得なかった。